SLAVE

エリー.ファー

SLAVE

 もしも、自分のことを忘れそうになったら、私の名前を思い出してください。

 大切なことは、いつだって答えをもって近づいてきます。

 あなたが、仮に自分を見失っても大丈夫です。

 あなたは、奴隷です。

 あなたの中にある希望に従う奴隷なのです。

 絶望や悲しみ、悔しさ、憎しみ、そういうものに体を奪われてしまうこともあるでしょう。

 でも、あなたはそれを断ち切れる人間でしょう。

 大丈夫です。

 あなたは前を向いて歩いて行けます。

 あなたは、自分の心に正直なまま生きてください。

 それだけが私の望みなのです。


 夢を見た。

 良い夢だった。

 自分を信じたいと心から思えるようになるそんな夢だった。

 何か物理的に存在していることに希望を見出すようなものではなかった。概念的で掴めないものへの漸近。まさに、それであった。

 大切なことは何度も言ってもらえるものではない。だから、私にとってこれも一つの指針として重要であったとしても、付き合って動き回る必要のあるものではないということか。

 厳しい言葉を投げかけられることもあったが、なんとなく生きているのは自分のことを愛しているからかもしれない。

 世界は私に贔屓をし過ぎていると感じることがある。

 ぜひ、そのままでいて欲しいのだが。

 いや、なんか笑える。


 奴隷の身分で空を見上げる。

 天井が低く感じる。

 この空を私と同じように感じている者が何人いるというのだろうか。

 私は孤独なのか。孤独ではないのか。もう、それさえ分からないのだ。

 音に身を任せて、踊りたい。

 この声で踊りたい。

 奴隷の身分から飛び出したい。

 私は。

 私の知っている世界を愛している。

 奴隷とは、物理的な制約なのか、心の中の制約なのか。

 それを考えられるほどに、私は今日も前に進んでいるのだろうか。

 走って逃げる。

 追いかけてこない。

 相手が諦めたことが分かった。

 そうか。

 何かの奴隷をやめるのはこんなにも簡単だったのか。

 踊れば疲れるだけだが、踊り狂えば夜が明ける。

 そんなことも知らなかった。


 君と僕が一緒にいる時間を幸福と呼ぶなら、それ以外の時間は不幸になるか。

 ならないよ。

 君がいないときの僕は君を想って幸せなのさ。


 諦めるな、とは言わない。

 しかし。

 諦めない、君は素敵だ。


 立ち止まってしまうことを何よりも恐れていれば、成長は確約される。


 明日から新しい学校に行く。

 前の学校ではいじめられていた。

 奴隷だった。

 いじめっ子の奴隷だったんじゃなくて、友達の、親友の、仲間の、先生の、お母さんの、お父さんの奴隷だった。

 それをやめるにはまだ時間がかかるかもしれない。

 新しい学校でもいじめられてしまうかもしれない。

 恐いな。

 恐くなったらどうしよう。

 あぁ、そうか。

 今度は、過去から逃げるんじゃなくて、未来を追いかけよう。

 たとえ臆病者でも、先頭を走れるなら恥ずかしくない。


 君が、君の中の可能性を低く見積もることを世界は残念に思っている。


 いつだって泣きながら生きてきた。

 そんじょそこらの奴らと違って生きることへの執着はけた違いに大きい。

 そこしか誇れるものがない。

 しかし、そんな自分を心から愛したい。 







 もしも、君が未来や明日の自分に全く期待をせず、後ろ向きに生きてきたのであれば、やりかけのものをそこには残さなかったんじゃないかな。

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