第9話 フスカの森5
「誰だ?」
あらわれたのは緑の髪の美しい姿をした娘だった。
(あの女性は確か湖で水浴びをしていた・・・)
「私の名は・・・ミドリ(ということにしておこう)。あー言っておくけどあなた達と敵対するつもりはないわ。だからそう身構えないで。あなた達の名前は?」
(正体がわからない以上、完全に警戒をとくわけにはいかない)
「私の名前はエンネア・ゼロ、こちらがクルス・リンシー」
クルス・リンシーは軽く会釈する。
「それでミドリと言ったか、用件は」
「まずはお礼を言わせて。クレイゴーレムを倒してくれてありがとう。あのクレイゴーレム、ミドリが作ったのだけどクレイゴーレムは年月を経てどんどん大きくなって言うことをきかなくなったの。手に負えなくて困ってたの」
「なぜゴーレムを作ったのだ。ゴーレムというのは何かを守るために作られるという話を聞いたことがあるのだが」
「ええ、その通りよ。あるものを守ってもらってたの、クレイゴーレムを倒すことができた知恵あるあなた。エンネア・ゼロにはそれを手に入れる権利があるわ。こっちよ、ついてきて」
クレイゴーレムを倒したことで森の奥の結界が解けている。
「ここから先に進めるのはエンネア・ゼロとミドリだけよ」
「ふむ、クルス・リンシー悪いがここで少し待ってて」
「わかったわ」
エンネア・ゼロはヘルハウンドをなで意思疎通を図る
(ヘルハウンド、クルス・リンシーを頼んだぞ)
「(任せておけ)ワン」
森の最深部の祠(ほこら)へ
台座にはまばゆい光を放つ手綱(たづな)が鎮座していた。
「これは!?」
(これはふんどし、まわしではなく、馬具の手綱だ)
「よくわからないけど光ってる馬具の手綱なんて珍しいものだなと思って、ここに封印しておいたの」
「そ、そうか」
「この手綱あげるね」「ありがとう」
光る馬具の手綱 を手に入れた。
「ねぇはじめてみたときから思ってたけど、あなたイケメンね。私といいことしない?」
「さっき会ったばかりだろ、そういう事はもっとお互いをよく知ってからだな・・・」
「あら?湖で隠れながら私の裸見てたくせに」
「・・・ばれてたのか」
「ふふふ」
「クレイゴーレムとの闘い見ていたわ。あのワンちゃんの主ってことはあなたって召喚魔法を使えるんでしょ。正体を明かすと私は木の精霊ドリアードなの」
(木の精霊ドリアード、クレイゴーレム、光る馬具の手綱・・プレイしていたゲームには存在しなかったな。最終イベント世界で追加されたものか)
「今度もしよかったら召喚してね」
木の精霊ドリアードを召喚できるようになった。
仲間と合流後ミドリの案内で
「ここから入口に戻れるわ」
ワープゾーンによりフスカの森入口へ移動した。
「お疲れ様、無事クエスト完了できて良かった」
「お疲れ様。また縁があったら会いましょう」
「またね」
「ワン」
クエストを終えパーティーは解散となった。
パーティー解散後エンネア・ゼロは北メシアに戻らず、メシアライブ国の中央付近に位置する首都ミッドメシアに向かう。
夕刻首都ミッドメシアに到着。
街は高い石壁に囲まれており敵の侵入を阻む。
首都なのに北メシア同様、街の雰囲気は暗い。
話を聞くと飢饉で食糧不足、瘴気による流行り病でミッドメシア市民は苦しんでいるようだ。
街を少しだけ散策し冒険者ギルドで報酬を受け取った。
宿屋に泊まり明日に備え眠りにつく。
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