虹ホロレアの人形使い最強美少女人形を手に入れダンジョンで無双する!! 外れスキルだと思った?残念!今更パーティーに戻ってなんて言ってももう遅いんでーす!

鳴雷堂 哲夫

序章

第1話 人形使いクビになる

「ドロシー・アプリコット!お前をこのパーティーから追放する!」




「え……?なんで?」


突然の解雇宣告に一瞬頭の中が真っ白になる。


しかし、そんなわたしの動揺などお構いなしに、団長のアランは次のことばを紡ぐ。




「お前のギフトが役立たずだからだ!」




ギフト……。それは、この世界に住む人々にに、天上の神々が与えたもうた神秘の力。


この世界の住人は、10歳になると、皆なにかしらのギフトが発現する。




例えば、剣士のギフトが発現すると、剣の扱いがうまくなったり、身体能力が上がったりする。


魔法使いなら、魔法が使えるようになったり、魔力の流れが目で見えるようになったりする。


とまぁ、こんな感じだ。




ちなみに、わたしのスキルは人形使い。


人形に魂を与え、これを操ることができるという、すごいギフトだ。


ぬいぐるみやおもちゃのロボットを操り、敵を攻撃したりできる。




しかし、身体能力は剣士や武闘家に比べるとずっと低いし、人形を介してしか魔法を使うことができないという、欠点もある。




わたしはこのギフトを使って、ダンジョン内部の索敵やトラップの探知、及び解除。


ダンジョン内のマッピングや、ボス部屋へ向かう安全かつ最短のルートの提示。


ダンジョン内の雑魚敵を掃討し、パーティーの露払いをするなどの雑務にあたってきた。


やっていることは、いわばテイマーの代用品である。




それなりにパーティーの役に立ってきたはずだ。


それなのに……。




「役立たずはないでしょ!索敵とかトラップ解除とか、いろいろやってきたじゃないですか!」


わたしは抗議した。


団長に対し、こんなに声を荒げるのは初めてのことだった。




しかし、わたしの抗議に対し、団長は鼻をフンッと鳴らすだけだった。


「もう索敵要員などいらんということだ。なぜなら俺様には新しいスキル「気配察知」があるからな!」


「気配……察知……?」




聞いたことのないスキルだが、おそらく高度な索敵スキルかなにかだろう。


なるほど、新しいスキルを覚えたから、わたしはもう用済みということか。


しかしわたしはなおも食い下がる。




「じゃあ、トラップ対策はどうするんですか?それができるのはパーティーでわたしだけですよ?」


そんなわたしの問いかけに対し、団長が返した答えは耳を疑うものだった。




「トラップなど解除する必要はない!そんなものは根性で耐えればいいのだ!」




意外な答えに、わたしはポカーンと口を開けたまましばらく固まっていた。


トラップは解除する必要がない?根性で耐える?いったい何を言っているのだこの人は?!




「ダンジョンのトラップがどれだけ危険なものかわかってるんですか?!中には一撃で即死するような危険なものもあるんですよ?」


「俺様のパーティーにトラップごときで死ぬような根性無しはおらんわ!ただしお前を除いてだがな!人形使い!」




……もうこの人にはなにを言っても無駄なのだろう。


黙ってわたしが辞めるしか道はないらしい。


わたしとしてもこんな人ともう一緒にやっていくのは無理な話だ。




「……わかりました。では本日をもってこのパーティーを抜けさせてもらいます。長い間お世話になりました。」




そう言って頭を下げたわたしを鼻で笑いながら、団長は硬貨の入った布袋を投げてよこした。




「受け取るがいい!それが退職金だ!」




わたしは布袋を慌ててキャッチした。


紐を解いて袋の中身をのぞいてみる。




……中に入っていたのは数枚の銀貨と銅貨だけだった。




「……たった、これだけ?」


「役立たずのお前には十分すぎる額だろう?さぁ、さっさと出ていけ!俺様はこれから新入団員との面談があるのだ!」




団長はそう言い捨てると、わたしを部屋から追い出し、ドアのカギを閉めてしまった。








……こうしてわたしはパーティーをクビになった。


しかしこれは、わたしに待ち受ける新たな出会いと、大いなる躍進の物語の、はじまりの一ページにすぎなかったのだ……。




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