第114話 アンゴーラ(専門家)に相談だ
久しぶり、というわけではないがダンジョンの中にある自室の中に戻った。
アンゴーラは相変わらず俺がいない間もダンジョンの様子を見てくれているようで、モニターと思われるウィンドウを覗き込んで俺が帰ってきたことに気づいた様子はない。
そして、それに気づいたシュラたちが忍足でアンゴーラの背に近付いていった。
なんだかんだシュラたちはアンゴーラのことを気に入っているようで、こうやって遊ぶことが多い。
若干おもちゃのように扱っているふうに見えるが、実際はアンゴーラと遊んでいるつもりなのだろう。アンゴーラもシュラたちのことを拒否していないし、今までぼっちだった分嬉しいのかもしれない。
「のわっ、なんじゃ!?」
気付かれないように近づいてきたシュラたちに驚かされてアンゴーラが声上げ、その反応を見てシュラたちがしてやったりといったドヤ顔をかましていた。
「ダンジョンを成長させるのは問題ないのじゃ」
アンゴーラはシュラたちとのじゃれあいを経て、俺のもとにやってきた。
そこでダンジョンのこれからについて相談し始めて今に至る。
俺も一応自分で調べてはいるが、やはりダンジョンコアと同化したアンゴーラの方が何かとすぐに情報を出してくれる。
ダンジョン作成の専門家みたいな立場だよなアンゴーラって。
「DPも足りているようじゃし、後はゲートキーパーとボスの設定くらいじゃろ」
「そうだな」
ここが問題というか、今の段階で最大までダンジョンを成長させることができるのだが、肝心のキーパーの数が足りていない。出現させられるモンスターの種類もそこまで多くないし、なんか薄っぺらくなりそうなんだよな。
とはいえ、今このダンジョンに入ってきている奴らも4層目まで到達してしまっているらしいし、早めにダンジョンの強化はしておかないと気づいたらクリアされかねないんだよな。
「20層目のゲートキーパーはキャラメル、25層目のゲートキーパーをやちゃるにして、間とその後の階層はどうするかね」
30層目はまあ、ボス配置になる階層だから今の最下層に配置している、俺たち全員でボスをする設定でいいと思うが。
「そうじゃのう。……しておぬし。これからこやつらと同じように仲間を増やすことはあるのかの?」
「まあ、増えるだろうな」
テイム数の上限が上がっている以上、今後新しくモンスターをテイムする可能性は十分にある。
ああ、そうか、そうなると今後あぶれる奴が出てきてしまうわけだ。今の状態だと拡張しても30層目が最下層だから、5層ごとにテイムモンスターを配置していると、25層のやちゃるの次でゲートキーパーに設定できるのはそこまでだ。が、その次にあたる30層目は最下層にあたるし、そこに配置するのはボスである俺らだ。
別に一定層数ごとにテイムモンスターを配置する必要もないんだけどさ。何となく一定層ごとにテイムモンスターを配置するスタイルを崩したくない気持ちがあるんだよな。
いや、ならいっそ、5層ごとにテイムモンスターを配置するんじゃなくて、3層ごとに配置とかでも問題ないか?
そうなるとボスを抜いて最低でも9体のテイムモンスターが必要になるが、果たしてテイマ―のテイム上限はどの程度なんだろうか。3層ごとに設定したら、上限に引っかかって配置できませんでしたなんて可能性もあるんだよな。これまでの増え方からすれば残り5枠は増えそうな感じではあるんだが。
「何やら悩んでいるようじゃが、ダンジョンは別に1つのルートだけじゃなくてもいいのじゃぞ。ゆえに、その分岐したルート分ゲートキーパーを増やすことは可能じゃ。ま、その分DPは必要じゃがの」
「は? え、そういうのって可能だったのか」
マジかよ。最下層までのルートを複数分岐できるとか、思った以上にダンジョンの階層は弄れるんだな。階層によってレベルとかに制限はかかるように何かしらの制限がかかる可能性はあるが、それでもいろいろやれることがあるようだ。
「可能じゃぞ。それに1つの階層に2体以上テイムモンスターを配置することも可能じゃしな」
「それも初耳……いや、最下層で俺ら全員配置できるんだから他の層で複数配置はできてもおかしくはないのか」
これはもうちょっと自分でも調べてみた方がいいだろう。そう考えダンジョン作成ウィンドウを開き、何ができるのかじっくり調べることにした。
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