第93話 ミヨガダンジョンへ 後半 ※ガルド視点
俺たちはキュリアと別れた後、ミヨガダンジョンの攻略を始めた。
先に結論だけ言ってしまえば2層目までは攻略することが出来た。しかし、2層目のゲートキーパーたちを倒したところで、ダメージが嵩み持って来たアイテムの半数近くをつかったことで次の層へ行くことを止め、ダンジョンの外に出ることにしたのだ。
「ちょっと舐めていたかな」
「まあ、確かに第2エリアに在るからと、もう少し簡単だと内心思っていたことは否定しないよ」
「それな」
他のメンバーも言っている通り、俺も少しだが舐めていた部分があった。レベル20程度のスライムがどれほど群れようと容易に突破できると考えていた。いや、実際にそこは問題なかった。全く被弾が無かったと言えば嘘になるが、初めて攻略するのだから格下だとしても多少のダメージを受けることは許容範囲ではある。しかし、ゲートキーパーが少しだけ予想外だった。
1層目のゲートキーパーはレアスライムだった訳だが、こいつはスライムに毛が生えた程度の強さしかないはずだった。しかし、実際に戦ってみるとそうではなかった。
おそらくゲートキーパーとして出現しているせいだろうが、普通の個体に比べて全体的にステータスが上昇しているように感じたのだ。
そして、2層目のゲートキーパーと戦ってそれを確信した訳だ。
おそらくではなく、確実にダンジョンのゲートキーパーは通常の個体よりも強いステータスを所持している。まあ、ボスとしてその場に居るのだから強いのは当然といえば当然ではあるが、それは通常個体の強さを知っているプレイヤーからすれば場合によっては危うい差に成り得る。
実際に今回、その差によって少しではあるものの俺たちは苦戦することになった。
2層目のゲートキーパーはハイレアスライムという、今まで聞いたと事の無かったモンスターだったが、名前からしてレアスライムの進化先なのだろう。そこからある程度のステータスは察することが出来たのだが、思った以上に持ちこたえられた。
武器を新調していた六星はある程度ダメージを与えることが出来ていたが、武器の性能が一段劣る俺を含むメンバーでは多少ダメージが心もとない感じであった。
結果として、HPとMPを想定以上に減らしてしまったため、次の層へ行ったところでゲートキーパーに辿り着いたところで倒すのは難しいと判断し、外に出て来たわけだ。
「まあ、六星はドンマイ」
「ここで性能が同じやつが出るってどういうことだよ?」
肝心のゲートキーパーを倒した際に出ると言われていた武具についてだが、今六星が第2層のゲートキーパーを倒した際に獲得した杖を持っている。
そして今、本人が言った通りに、イベントで交換した杖と今回手に入れた杖の性能がほぼ同じだった訳だ。ついでに1層目で手に入れた武具はメンバーでも誰も使わない物だったため、ギルド倉庫の肥やしになる予定である。
六星からすればイベントで獲得したポイントを無駄に消費した感じになってしまったため、色々と思うことが有るのだろうが、他のメンバーからすればこれは朗報でもあった。
「イベント前に来るべきだったなここ」
「だな。先にここに来ていればもう少しイベントでポイントを稼げた気がする」
「それに俺もこんな気持ちにならなかったはずだ」
「……いや、先にここへ来ていても六星は武器を選んだんじゃないか? 交換画面で武器の能力全て見えていた訳ではなかったし。どの道六星は爆死していたと思う」
「その光景が易々と思い浮かびますね」
六星もそのことを否定できないのか反論することなく黙ってしまう。
「ああ、でも。確か第6エリアに武器を合成できる施設があるとか、ギルドで聞いたっけ。それでそれは使えるんじゃないかな?」
「!?」
手に武器を持ったままだった六世の顔に少しだけ精気が戻る。
そう言えばそのような話は聞いていたな。もしかしたら今回、もしくは今後手に入れた不要な武器もそこで使うことが出来るのかもしれない。
「ならさっさと次のエリアに――」
「それは俺たちの武器を揃えてからだな」
「ですよねー」
「そいや、1層目と2層目でドロップの差はあったのか? 俺はよくわからなかったんだが」
「若干だが2層目の方が良い気もする。同程度ではあるがな」
「となると、2層目をクリアするところまででマラソンってことかね」
「そうだな」
そうして俺たちはパーティーメンバーの武器が一通り出るまでミヨガダンジョンでマラソンをすることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます