第87話 アイテム選択完了と言いがかり

 

 卵の交換に使ったポイントを引けば残り4300くらいだったが、モンスターの卵を除いたポイントで交換したアイテムはそれほど多くはならなかった。


 交換アイテムの目玉っぽい武具に属性を付ける宝珠はこの段階で交換出来ない。

 まあ、交換出来たとしても、おそらくしなかったと思うけどな。今装備している杖には属性があるし、防具もそう強い物でもない。宝珠の効果で性能を上げたところで焼け石に水というか微々たる変化しか生まない。これが攻撃力の高い武器だったりすれば効果は大きかったのかもしれないが、俺には無用の長物にしかならない。意味が無いわけじゃないけどさ。


 交換アイテムはどうやら全職業向けのアイテムと、各職業向けのアイテムが存在していた。

 全職業向けで最もポイントが必要なアイテムが宝珠だとすると、テイマーはモンスターの卵。戦闘職ならその職に合わせた武器になっている。そのため、テイマー用の他の交換アイテムとなると交換が確定している卵に比べて見劣りしていた。一応、今装備している物よりも良さそうな頭装備があったのでそれは交換することに決めたが、他に目ぼしい物はなかった。


 そのため、テイマー向けのアイテムはこれ以上交換しないことに決め、適当に交換できるアイテムを見ていたら良さそうな家具アイテムがあったのでそれを交換。

 蘇生薬の説明文を軽く読んだところテイムモンスも復活させられそうだったため、保険の意味合いと正直選ぶが面倒になっていたこともあり、残りのポイントは全て蘇生薬に交換した。1個100ポイントだったから交換した数は23個だ。もしテイムモンスの復活に使用出来ないようであれば、ソロだと使う当てがないのでさっさと売り払う予定だ。


 ポイントの交換が終わったことでダンジョン内で他にやることが無くなった。この後の他に予定は入っていないが、時間はある。第2、第3エリアのギルドに行って依頼を受けておこう。第4エリアに移動するための条件からして、今後のエリア移動にもギルドポイントが関わって来る可能性は高いのだ。やれる時にやっておいた方が後々楽になるだろう。



 第2エリアのギルドですぐに達成できる依頼を全て受け、ギルドへの済ませるとすぐに第3エリアへ移動した。


 イベントが終わってそれほど時間が経っていないこともあり、フィールド上にはそれほどプレイヤーの姿は見られなかった。第2エリアの町でもそうだったが、町の中にはいつも以上にプレイヤーが多く居る状態だ。特に第3エリアは一番プレイヤーが留まっている場所でもあるため、町の中はプレイヤーでごった返している。


 プレイヤーたちは大体は数人ないし、1パーティーくらいの人数で雑談しながら、目の前に表示されていると思われるウィンドウを操作している。

 十中八九イベントで手に入れたポイントで何を交換するかの話だと思うが、中には他のプレイヤーの邪魔になるような位置で話をしている奴らも居て少しどころでなく移動が面倒だった。


 仲間内で話し合って交換するアイテムを決めたい気持ちもわかるが場所を選んでくれよ、と言いたい。嫌なやつらに絡まれたくないから口には出さないが。


 シュラたちも全員連れて来ているのでかなり移動がしづらい。特に朱鞠は普通のプレイヤーよりもサイズが大きいのでプレイヤーの間をすり抜けるように移動するのは無理だ。そんな理由で、朱鞠とついでにぷらてあは周囲にある建物の屋根の上を移動している。

 俺も屋根の上を移動出来れば楽なんだろうが、屋根の上に登る方法が無いんだよな。ぷらてあみたいに朱鞠にしがみ付ければ可能なんだろうけど、そんなことは出来ないし。朱鞠の糸を使えば登れるだろうが、あれは攻撃スキル扱いなのでセーフティーエリアである街中では使えない。


 そんなことを考えながら街中を進みようやくギルド前に到着した。

 ギルドの前は他の場所よりもプレイヤーが多く、入口が見えているのに中に入るまでプレイヤーの中を突っ切らなければならないようだ。


「その名前! こんなとこに居やがったのかこのクソチートテイマー!」


 面倒だなと思いながらため息を吐き、プレイヤーたちの間を進もうとしたところで後ろから罵声が聞こえた。


 こんなプレイヤーが多く居る中で叫ぶなんて凄いなと思いつつも、テイマーって言っていたから俺に声を掛けている可能性が高いよな、とも考えた。

 正直、こんな中で叫ぶような奴には関わりたくない。さっさとギルドの中に入れればいいんだが、そうもいかないことに歯がゆさを感じる。


「おい! 聞こえてねぇのか!」


 後ろから聞こえてくる声の感じからして対象は俺っぽいなぁ。面倒だから無視するか? セクシャルガードがあるし無理やり引き留めることは出来ないのだし、こういうので一番いい対処方法は関わらないことだからな。


「無視すんじゃねぇっぐっ!?」


 右肩に小さな衝撃受けたと同時に、バチッという音が聞こえた。

 セクシャルガードもあるから強引に止めには来ないと思っていたんだが、どうやら後ろで叫んでいる奴は考えなしだったようだ。しかし、これでGMコールができるな。


 ウィンドウを開きGMコールを選択する。すると『ウィンドウにログを確認中・・・』の文字が表示された。


―――――

長くなったので分割します。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る