第58話 ダンジョンを成長させよう

 

 ログインすると、しっかり先ほどログアウトした場所に戻ることが出来た。


 ログインする前に課金した金額が正しく反映されているか、ステータスウィンドウを開いて確認する。しっかりFsが増えている事が確認できたのでウィンドウを閉じる。


 ちゃっかり大会の3連単に賭けた分の金額が増えていたが、今回課金した金額と比べれば1割程度なのでさほど儲けたという感覚が薄い。いや、10k賭けていたから6M近くFsが増えているんだけどな。


 課金してその金額をFsに換金したことで現在の俺の所持金は約56M、要は5600万Fsになっている。これだけあればダンジョンポイントに変換して、十分ダンジョンを弄ることが出来るはずだ。


 さっそくダンジョンを弄ろうと思いアンゴーラを探すと、アンゴーラはシュラたちに囲まれていた。


 そう言えばテイムモンスターって自室とかでログアウトすると、自律状態で残るんだっけ。さすがにログアウトした場所から離れることは無いらしいけど。


「アンゴーラ」


 俺がログインしてきたことにはまだ気づいていなかったようなので声を掛ける。すると、アンゴーラよりも先にシュラたちが俺の方へ近付いて来た。


 そういえば、急いでログアウトしたからシュラたちにすぐ戻るとは言っていなかったな。と、思い出しながら、近付いて来たシュラたちの頭を撫でる。


『なんじゃ、もう戻って来たのか』


 シュラたちに構われていたからなのか、アンゴーラが若干やつれているように見える。


「ああ、それでさっそくダンジョンを弄りたいんだが、いいか?」

『構わぬぞ。しかし、良いのか? ダンジョンに手を加えたら他の者が入って来られるようになってしまうが』

「問題ない」


 今は時間的に、イベントのパーティー部門のPVP大会が開かれている最中だ。なのでこのダンジョンがある第2エリアには殆どプレイヤーは訪れることは無い。まあ、まだ第2エリアに居るプレイヤーも居ない訳ではないけど、イベント中であればフィールドに出ているプレイヤーは少数であろう。


『そうか。ならば、ほれ』


 アンゴーラが近付いてきて後ろ脚で立ち上がり、前足を片方上げると俺の前にウィンドウが出現した。


 目の前に出て来たウィンドウには、上部にダンジョン管理画面と表示され、その下にいくつもの項目が連なっていた。


 俺はその項目の中から、ダンジョンポイントに変換する、を選択する。そして、さらに表示されたウィンドウでFsをDPに変換するために操作を進めた。


 とりあえず、20MくらいDPに変換しておこう。FsをDPに変換する量に制限がない様なので足りなければ後で追加すればいいし……いや、全部突っ込んでおくか。もともとDPに変換するために課金して来たのだし、いいだろ。


 先ほど課金してFsに換金した50Mを全てDPに変換した。これで所持しているDPが50万になった。

 ウィンドウの隅に表示されている現在のDPの欄には50万と少しの値が表示されていた。変換した量よりも微妙に多いのは何でだろうか。アンゴーラからの引継ぎか? それともチュートリアルで使う予定だったのか。まあ、増える分には問題ないな。


『ぬお? なんじゃ!? 信じられん量のDPが一気に溜まったのじゃが!?』


 50万は信じられない量なのか、と思ったが、一気に50万も増えたから驚いているっぽいな。アンゴーラがダンジョンマスターだった時はここまでのDPはみたことなかっただろうしな。俺が速攻で攻略してしまったのが主な原因だけど。


「これは多いのか?」

『ぬ? うぬ……短期間で獲得する量としては多いのじゃ。長期的に見ればあり得なくはないのじゃが、それでも小規模なダンジョンでは難しいかもしれぬ』

「なるほど」


 多いは多いけど在り得ない量ではないと。となると、これだけじゃあ、十全にダンジョンを弄るには足りないのか?


「ダンジョンを弄る分にはこれじゃ、物足りないとかはあるか?」

『十分足りておる。それに、詳しく説明しておらんかったが、インスタントダンジョンからなったこのダンジョンは、現状どんなにDPを掛けても30層までしか作れん』

「え、マジか。限界があるのかよ」


 際限なくデカいダンジョンは作れないのか。まあ、今見つかっているダンジョンでも5層が一番深いから、それに比べればかなり深くは作れる。ただ、アンゴーラの言い方からして、先のフィールドに進んで行けば30層よりも深いダンジョンがあるってことだよな。


 それにプレイヤーが簡単に100層あるダンジョンを作れてしまうと、ゲームサーバー的に負荷がかかり過ぎるか。

 気になるのは『現状』30層までしか作れない、と言っている所だけど、今気にしても仕方ないか。


「限界があるのは仕方ないな。俺にはどうすることも出来ないし」

『そうじゃの』


 とりあえず、FsをDPに変換するのは終わったので、ウィンドウを操作してダンジョンポイントを使う、のウィンドウからダンジョンを成長させる、を選択する。そして、DPを使用してダンジョンを成長させた。

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