第42話 シュラ、アップデート?
『ダンジョンボスとの戦闘に勝利しました! この戦闘による報酬が支払われます。
初めて新緑のダンジョンをクリアしました。
ダンジョンクリア報酬が発生します。おめでとうございます。
ダンジョンをクリアしたため、ダンジョン入口への転移陣の利用が可能になりました』
シュラが噛まれた時は焦ったが、それ以外は危ないところもなく戦えたな。
まあ、噛まれた時もそこまでダメージを受けていた訳ではないんだけどな。HPも7割近く残っていたし。
「ヒール」
まだ、完全に回復しきっていないシュラのHPを回復魔術で全快まで回復させる。
「です!」
「いや、だから勝手に開けるなよ」
ダンジョンをクリアしたことによって出て来た宝箱を、シュラがまた勝手に開けた。何で勝手に宝箱を開けるのかね。
うーん、箱を開けるのが好きなのか、それとも別の理由があるのか。
「なのです!」
そしてシュラは中に入っていた魔石を取り出し、それを頭上に掲げた。そう言えば、フロアマップを全部埋めた時に出た宝箱を開けた後の反応は、もう少しおとなしかったような。
「あーはいはい、魔石だな。…ん?」
シュラから魔石を受け取ろうと手を差し出したのだが、シュラは俺が差し出した手と魔石を見比べるだけで、渡そうとしてくる気配がない。
んん? 今まではあっさり渡してきていたのにここに来て何故だ? シュラの行動を疑問に思っていると、シュラは持っていた魔石を胸元に持って行き、握りしめているような動作をした。
「…です」
「……もしかして、それが欲しいのか?」
「なのです」
俺の言葉に頷いているので欲しいということなのだろう。何故欲しいのかはわからないが、魔石(小)は割と数があるし、使う予定もないからあげること自体に問題はない。
思い返せばマップを埋めきった時に出て来た宝箱を開けた後、直ぐに興味を失っていたんだよな。もしかしたら魔石が欲しくて宝箱を開けていたのかもしれない。
ゲートキーパーの時の宝箱は俺が開けて直ぐに中身を回収していたから、シュラが手に取ってはいなかったし。
「なんで欲しがっているのかはわからないが、欲しいならそれはシュラにあげよう」
「なのです!」
シュラが嬉しそうな声を上げる。うん、可愛い。しかし、何をするつもりなの…いやちょっと待て。
「シュラ、ストップ」
「です?」
あげた魔石を口に運ぼうとしていたシュラを制止する。いや、何で食べようとした? パンを食べるのは分かっているが魔石も食べられるのか? ああでも、スライムだから別に問題ないのかもしれないな。
シュラが魔石を食べたそうに俺の様子を窺っているが、どうしたものか。
シュラ自身が食べようとしているから、変な事にはならないと思うが、止めないにしても先にステを確認しておくか。
『NAME:シュラ 種族:ヒューマスライム LV:31 属性:水
HP:350 / 350 MP:185 / 185
STR:213(92) INT:176 総合攻撃力:194
VIT:168(8) MND:200 総合防御力:184
AGI:205(45) DEX:116
スキル:ウォーター・体当たり・のしかかり・スライム魔法LV 5・回避・武器 』
いつの間にかレベルが30を超えている。ステの上がり方は今までと同じ感じで、スライム魔術が1レベル上がっているな。おそらくこれで腕を鎌に変えることが出来るようになったのだろう。
「すまん。もう食べてもいいぞ」
「です」
シュラが魔石を呑み込む。
ちょっとペットに対して、待て、をしているような軽い違和感を覚えたが、本来のテイムモンスターとテイマーの関係を思い起こせば、そこまで変ではないのかと、そう思い至った。
シュラが魔石を呑み込んで、変化らしい変化は現れない。
呑み込んだとはいえ、魔石だから消化?するには時間が掛かるのだろうか。それとも変化が見えないだけで、既に変化済みなのか?
「で…」
「ん?」
「でーすー!!」
パワーアーップ!みたいに両腕を上げ、力強く声を上げて薄らと発光。発光したのは魔石を取り込んだことによるものだろう。
シュラの様子を観察する限り、悪影響は出ていないようだ。とりあえず、シュラのステをもう一度確認しよう。
『NAME:シュラ 種族:ヒューマスライム LV:31 属性:水
HP:350 / 350 MP:235 / 235
STR:213(92) INT:176 総合攻撃力:194
VIT:168(8) MND:200 総合防御力:184
AGI:205(45) DEX:116
スキル:水魔術(初級)・体当たり・のしかかり・スライム魔法LV 5・回避・武器・言語 』
若干変化しているな。数値はMPが50増えて、他は変化なし。スキルにあったウォーターが水魔術(初級)に変化した?追加された?のと、しれっと言語のスキルが生えているんだが。これってもしかして今まで以上に話せるようになるのか?
「何を見ているのです? 私にも見せて欲しいのです!」
「―――(驚愕)」
シュラがめっちゃ流暢に話してきたことで思考が一瞬フリーズする。
いや、もうこれあれだろ。パワーアップではなくアップデートの類だろ。しかもVerで言えば、一段階新しくなったとかではなく、複数の過程を吹っ飛ばして最新Verになったくらいのやつ。
「? 見せてくれないのです?」
「―ああ、いや、見せるのは問題ないが、先に残りの報酬をしまってからだな」
「わかりましたなのです」
残りの報酬である魔石をインベントリにしまう。その後にシュラが見たがっていた自身のステータスが表示されているウィンドウを見ながら、ほーとかにゅーとか変な声を出しているが、これって確実に知能も上がっているよな?
……後でイケシルバーに連絡を取って似たような事例があるかどうかの確認をしておこう。
≪ミヨのステータスが更新されました≫
―――――
ミヨのステータスを確認したい場合は、別話『ミヨのステータス 一覧』に移動をお願いします。
※確認しなくても話の内容には影響しません。
『ミヨのステータス 一覧』へのリンク:https://kakuyomu.jp/works/16816452220059104663/episodes/16816452221114863860
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます