創作ホラー

闇猫

第1話 階段

ホラー作品には必ずと言っていいほどに「階段」が登場するシーンがある。私が文章にするのは、よくある「階段」についての話だ。


私の祖父母の家は、事故物件というわけでもなく、近くに霊道が通っているわけでもないごく普通の二階建ての家だ。小さいころ、私は休日によく家族で祖父母の家に泊まりに行っていた。家に泊まる時の部屋割りは、両親と弟が一階のリビングの隣にある和室で、私は階段を上がってすぐ目の前の部屋で、祖父母が階段を上がって右の突き当りの部屋で寝ることになっていた。階段を上がってすぐ左にも部屋はあるのだが、元々は母の部屋で、現在は物置部屋になっている。

いつものように祖父母の家に泊まりに来ていた私は家族と夕食を食べ終えるとそのまま自分が寝る部屋に戻っていった。ベッドの上で寝ころびながらゲームをしていたが、急に廊下側の壁が一回だけコンと鳴った。ただ、私は足が壁にぶつかっただけだろうと思い、気にも留めていなかった。そのまま暫くゲームをしているとまた廊下側の壁がコンと一回鳴った。流石に今度は足をぶつけた感覚もなかったので、少し気になり、周りの音を注意深く聞いてみた。しかし、聞こえてくるのは一階で楽し気に喋っている家族の声だけであり、気のせいということにして、極力気にしないようにした。その後は特に何もなく、音が鳴っていた事も忘れ、入浴を済まし、後は寝るだけとなった。時刻は大体23時ぐらいであり、両親と祖父母はまだ一階で会話を続けていた。部屋の明かりを消し、布団に潜り込んで目を閉じたとき、またコンッと今度は部屋の中に響くような感じで音が鳴った。流石に少々怖くなり、布団を頭まで被り、必死に寝ようとした。しかしまたコンッ、コンッ、と音が聞こえてきた。私は部屋を出てもし何か得体の知れないものに出くわしてしまったらどうしようという恐怖心のせいで部屋から出られずに、布団の中で縮こまって震えていた。

しかし、私はコトンッコロコロと何かが転がる音で気が付いた。今までの音は階段を何か固いものがゆっくりと落ちていく音で、音的にガチャポンのカプセルの音だということに気が付いて、安堵し、それを拾いに行こうと部屋を出た。しかし部屋を出たところで私は再び恐怖した。音の正体はカプセルで合っていたが、そのカプセルがなぜか目の前にあるのだ。つまりこのカプセルは、目の前の階段を上ってきたということになる。私は階段を駆け下り、リビングで話していた両親たちにその話をした。

すると、両親たちは私がまだ生まれたばかりのころに、似たようなことが起こっていたと、その話をしてくれた。内容は、私がついさっき体験した内容とよく似ていて、両親たちの場合はゴムボールが階段を上がっていくのを見たという。ただ、別に何か害があるわけでもなかったので、不思議なことがあるもんだなぁぐらいにしか思ってなかったみたいだ。その話を聞いた私は害は無いと分かっていても、怖いものは怖いと言ってそれ以来二階の部屋で寝なくなった。

だが、決して私はカプセルが階段を上がってきた事に対して怖がっていたのではないと言っておこう。私は部屋から出た際に、右の、今は物置になっている部屋に、黒っぽい「何か」が入っていくのが見えたからだ。










初投稿の内容はいかがでしたでしょうか?全然怖くないと思った方もいらっしゃると思いますが、これからもこういった短編創作ホラーを投稿していこうと考えております。内容の怖さはこれからもっと怖くなるように努力してまいりますので、どうか本作品をこれからもよろしくお願い致します。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る