第23話

「またあなたですか。さっき、お引き取り願いましたよね。」

職員室にいる先生方は露骨に疎ましいうとましい雰囲気を醸し出してきた。


「一つだけ聞けたらすぐに帰りますから。この学校で昔、自殺した高橋という女子生徒について少しお聞きしたいんですが、当時のことを知っている人はいますか?」

神宮寺からの問いかけに職員室にいる先生たちは全員、目を伏せて視線を合わせないようにしていた。その様子を見た神宮寺は、この事実に何かあると確信した。


「どなたか知っている方、いらっしゃいませんか?」

再度の問いかけに対しても誰も回答しようとはしなかった。その時、静まり返っている職員室に教頭先生が入って来た。


「どちらさまでしょうか?」


「私、こういうものです。」

神宮寺は警察手帳を教頭に見せた。


「警察の方が、どういったご用件でしょうか?」


「数年から十数年前に、こちらの学校に通っていた高橋という女子生徒さんが自殺した件について、お聞きしたいのですが、当時のことを知っている方がいるか確認していたんです。」


「そんな昔のことをなぜ今になって警察の方が?確か、当時は特に事件性もないとあなた方、警察が判断されて終結しておりますが。」


「なるほど。あなたは当時からこちらの中学にいらっしゃったんですか?」


「そうですね。」


「もしよろしければ、当時のことを少し教えていただきたいのですが。」


「私からお話することは特にありませんので。もう我々も忙しいので、お引き取りいただいてもよろしいでしょうか?」


「分かりました。お忙しい中、ありがとうございました。」


教頭先生は明らかに何かを隠しているようだったが、これ以上に問いかけても逆効果になると判断した神宮寺は撤退することにした。


『所轄に行けば、当時の情報が何か掴めるかもしれないな。」

神宮寺は所轄へと向かった。

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