鬼の面
スーパーで節分の豆を買ったら
「お面が付くんですが、要りますか?」と
レジのお姉さんが 少し笑いながら言うので
「あ、はい」と
私も少し笑いながら言うと
「こんな感じのなんですが……。」と
またまた ふふ、と笑って言う
引き出しから出できたお面は
赤い てかてかしたものではなく
にっとした口の 実に渋い色合いの鬼で
私も なんとなく笑う
一年に一度しか食べない豆と
かぶらない鬼のお面が
こちら側にやってきて
それを持ち帰る道
さざんかをついばんでいた
めじろが一気に飛び立って
はなびらが 音もなく散った
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