スター・ファンタジア~絆の章~

黒百合咲夜

原初大聖戦に至るまで

 はるか太古の昔、この宇宙に唯一神という概念存在がいた。

 唯一神は、まず宇宙に星々を誕生させた。

 次に、最初の生命として神龍族を造り出した。神龍族はやがて、光の魔力を持つ聖天龍、闇の魔力を持つ邪神龍、混沌の魔力を持つ覇王龍と呼ばれる三種族に分かれることとなる。

 これに満足した唯一神は、次に新たな種族を造り出した。それが、人間族。

 感情豊かで、弱いながらもたくましく、個ではなく集団として生きていく、唯一神が生命とはこうあるべきと願った不完全でありながら、完成した種族。

 人間たちの出来栄えに満足した唯一神は、続いて亜人族と魔族を造り出した。

 こうして、宇宙に生命を満たした唯一神は、満足そうに眠りについたのだ。


 何事もなく過ぎた平和な日々。だが、そんな日々は突如として終わりを迎える。

 神龍族の一柱、覇王龍たちが、すべての宇宙を支配しようと戦争を起こしたのだ。

 後に『覇王龍事変』と呼ばれるこの戦いは、同じく神龍族である聖天龍と邪神龍たちにより無事に鎮圧された。だが、この時に対処方針を巡って二者は対立。関係が冷え込んでしまう。

 冷戦とも言える時代は長く過ぎ、遂に決定的な事件が起きた。

 なんと、唯一神が何者かによって殺害されてしまったのだ。

 創造神を殺すことができる存在など、神龍族をおいて他にない。聖天龍と邪神龍はそれぞれ、互いに相手の仕業だとしてより一層対立を深めた。

 この時、聖天龍たちは主に人間族たちに呼び掛け、多数の種族が穏やかに暮らせるよう基盤を整えた大規模同盟――宇宙連邦を成立させる。

 邪神龍たちは、自分たちを支配層において邪神龍の考えに賛同する者たちで形成した国家――ドラムグード王国を建国。

 時を同じくして、覇王龍事変で生き残った覇王龍たちは、再び野望を成し遂げようとガトランティア皇国を建国した。

 三者が睨み合う構図となり、戦争突入まで秒読みの段階に入る宇宙。

 そしてついに、ドラムグード王国が宇宙連邦を攻撃。これをきっかけとして、三者による宇宙史上最悪の大戦である、原初大聖戦が開戦してしまう。

 血で血を洗う最悪の戦場は宇宙全体に広がり、全宇宙の生命は瞬く間にその数を減じていった……。


 これは、そんな聖戦の時代の物語。歴史の裏で活躍した、とある少年少女たちの絆の記録。

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