不良幽霊がうざすぎる

Nana

0. 今日も今日とてうざすぎる

 あぁ、うざい。うざいうざいうざい集中できない。

「なぁ、この三角形のさ、この鋭角をあいつのケツにぶっ刺すとすんじゃん?そしたらよぉ、」


 月曜日の一限目に数学というただでさえうざい状況なのに、そこに目の前の男のうざさが加わって、私のイライラはMAXへと到達していた。


「痛みと驚きであのバレバレのカツラもぶっ飛んでいくと思わね?おい無視すんなよなんか言えよ」


 うざいんだよ失せろ!!!


 そう叫びたい気持ちをなんとか抑え、黒板に文字を書きながら説明をしているバレバレカツラ数学教師の声に耳を傾ける。

 一限目終了まで残り15分。とりあえずこの15分を乗りきろう。何がなんでも目の前の男のちょっかいを無視し続けるのだ。平常心を保て、平常心を。


 そう自分に言い聞かせ、黒板に書かれた文字と図形をノートに写す。


「おい聞いてんのかよ。この24度の角をさ」


 あぁもう殴ってやりたい!!!私の机の前にしゃがみこんでいちいち話しかけてくる目の前の男の顔面を思い切り。


 だが、それはどんなに願っても叶わぬことだった。


「あ、今俺のこと殴りたいって思ったろ?残念でした~無理だよ~んクソウケるww」


 そう、無理なのだ。今が授業中だとか、問題行動を起こしたくないとか、そんな理由じゃない。物理的にできないのだ。なぜなら、朝からなんとも鬱陶しいこの男は、


「お前が俺のこと一発でも殴れたら、成仏してやってもいいけどな」



 幽霊だからである。

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