第10話 面談
朝の忙しい時旦那が「今日、俺面談なんだ」と言ってきた。
別にこれといって珍しい事ではない。年に数回「どうよ調子?」的なもので、まあ、会社の義務みたいなものだと思う。
それでも今頃の面談は来年度の身の振り方を決める前振りみたいなもので、どうしても転勤できない理由とか将来はこういう所に行きたいとか、まあ、ざっくりとした希望を伝える機会でもある。
うちの場合はもうそろそろ転勤か? という時期なのでこんな所には行きたくないという事を遠回しに話すと思われる。
もちろん希望は希望であって、ほとんど聞き入れられることはない。
それに最近は慣れて来たというか、結構どうでもいいかなんてあきらめもついてきて、決まってもいないことでやきもきしないでいられるようになった。
なんせ、転勤というのは家族にとってもの凄いストレスである。
私は有無を言わせず仕事を辞めなくてはならないし、子どもたちは転校しなくてはならない。
子供が小さい時は、単身赴任という文字はなかったので、今考えるとうちの子結構頑張ったなと思う。
上の子は社交的で、習い事でもすぐにお友達ができるタイプだったので、転校時もそれほど苦労しなかったけれど、下の子は転校してすぐ蕁麻疹で、毎朝送り届けなければならなくて、夜にしくしく泣かれたりすると娘も私もしばらくメンタルが大変だった。
そう言ったもろもろをまた初めからやり直すと考えると、私の方がつかれるので、はっきり決まるまで心配も準備もしない。
なので、旦那が面談で何を匂わされようと、今の段階では「そうなんだぁ」と聞き流すことにしている。
たぶん、旦那も子供たちが苦労しているのを見ているので、次の場所次第では単身赴任かなぁと思っているはずである。
来春転勤がないことを祈る。
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