住めば都は本当か~転勤族の妻は

彩理

第1話 「住めば都なんて嘘だ」

 こんにちは彩理です。

 長年ブログを書いていたのですが、カクヨム使いやすいのでこちらに徒然のように書いて行こうと思います。




 親は転勤族で、あまり深く考えないで転勤族の旦那と結婚を決めちゃいました。

 子どものことを考えると多少の不安はありましたが、自ら数回転校した経験から、まあ何とかなるかな、と軽く考えてしまいのちに子供ともども苦労します。

 元来人付き合いは苦手ではないし、協調性も社交性も一般常識も持ち合わせていると思っていたので、対人関係に苦労するとも思えなし、旅行も好きなので、何とかなるかなぁという軽い気持ちだったは、一言でいえば若かったからかもしれないです。

 新婚で、多少浮かれていたし。


 両親や友人は皆口をそろえて「住めば都だから」と送り出してくれました。



「住めば都」

 誰が初めにそんなこと言いだしたんだろう?

 今なら声を大にして言えます。

「そんなわけないじゃん! 地元がいいにい待ってるでしょ!」

 結婚して二日目にそう叫んでいました。


 転勤族の妻に「住めば都」なんて言って送り出す人間に限って、生まれた時から地元にいて、結婚後は実家の側で暮らしていた人間に違いない。

 それでなければ、そんな綺麗ごと言えるはずもない。そんなひねくれたことを考えるほど、この時私はやさぐれていました。



 *


 日本はいい意味で四季があり、地域特有の習慣や文化があり、そして暗黙の了解の国でした。

「風習」とか「歴史」とかの言葉の前では、よほどの厚顔無恥でないかぎり新参者の出る幕はないのです。


 この風習に意味ある? と思ったが最後自分自身の中の「よそ者感」がむくむくと成長して、どこまで本音を言っていいのか分からなくなり、ストレスが蓄積されていくのがわかるほどでした。



 今考えると私は孤独だったのかもしれない。

 いや、私だけじゃなくたぶん転勤族の妻は皆孤独だ。

 それが、田舎なら目も当てられない。

 朝起きて旦那が出勤してしまうと、帰ってくるまでだれとも話さないと言うのが当たり前な生活で、鬱にならなかったのが不思議なくらいでした。その頃の私は人恋しくてよく散歩がてら用もなく小さなスーパーに行き店員さんに話しかけていました。


 今のようにSNSやスマホがない時代で、固定電話から実家や友人にかける電話代は1万円を超えてしまうし、町には本屋も大型スーパーもないので、もっぱら散歩して暇つぶしをする毎日。

 一時間歩いても誰にも会わない散歩中、私はよく海でボーっとしていました。

 日本海の荒波が打ち寄せる浜辺で、心を映し出しているようなどんよりとした雲の下にいると、いつ拉致されてもおかしくないなぁ、なんて本気で思ったことは、笑えない。


 ちなみに、結婚当初は家賃5000円の社宅に住んでいました。

 この社宅についてはいろいろ言いたいことが山ほどあるのであとで、改めて書きます。

 

  旦那の勤め先はすごい田舎で、社宅以外だと町内では民間のアパートなどなく、隣町まで行かなくてはならなかっのです。

 隣町といっても田舎の隣は30キロも離れていて、私からすると田舎なのに何でこんなに家賃高いの? というほどのぼったくりだったし、初めにも書いたけれど親も転勤族で長い事社宅住まいだったので、社宅があれば当然そこに住むというのが当たり前でした。

 なので選択としては社宅一択だったのだが、「旦那のぼろいから民間のアパートに住んでもいいよ」という言葉を笑って断ってしまったのは今でも後悔しています。



 結婚式と新婚旅行を贅沢に海外に行ってしまった私たちに、安い家賃はすごく魅力的だったのも事実です。

 隣町は暮らしていた町より規模が大きく、大型スーパーもあり病院や公共施設も充実していたので、今だったら家賃が多少高くても職場がちょっと遠くてもある程度大きな町に住むことを選択したのだけど、この時私は呑気に専業主婦を楽しもうと思っていたのでした。

 なにせ、結婚退社だったので失業保険がすぐ出て。それまで、ブラックな企業でこき使われていたので、ちょっと休憩のつもりでのんびり職を指そうと思っていたのだけど、民間のアパートもない田舎で、職はもっとなかったです。



 ここまで読んでもらって今さらですが、田舎がイヤというわけではないです。

 誰も知らないところに、転勤するのは覚悟がいるという事が書きたかったのです。

 田舎でも、こそに永住するとか子供がいて横のつながりができるとまた全然違ってきます。

 しかし、数年後またどこかへ転勤しなければならない事実は簡単に気を許せる友達を作るのにブレーキをかけます。横のつながりができても長い友人関係になる前に転勤しなければならい。やっとなじんだ暮らしを転勤だからという一言で終わりにし、その喪失感が癒えないうちに新たにまた人間関係を築かなければならないのは、結構しんどいのです。




一話目にして結構暗いですが、それでも何とか乗り切って楽しく暮らしていますので、ここから軽ーい感じで挽回していきますよ。














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