嗚呼

桜野 叶う

晴れない

 嗚呼、憂きが晴れない。ベランダの屋根からは、しずくがぽたぽたとふる。

 雨季が中々晴れることのなき、その面影を浮かべれば、きゅうと重くなる。


 厳しい雷雨に見舞われているだろうに、その雲の便りが届いた。

 どうにか、折れず、枯れず、負けずに、踏ん張って 

 どれだけ、葉っぱ、小枝が飛ばされようと、枯れようと

 どうか、軸だけは折れないで、耐えて

 中軸の幹が、やられてしもうたら、

 もう、このまま朽ち果ててしまいそうで

 そう書きとめて、内に秘めて祈るだけ。

 

 返事をポストに入れるには、あまりにも僕にはそぐわない。

 入れないまま、その雲を抱く。少しピリピリするかもしれない。

 

 僕は、その雲をぎゅうと抱えている。雲を離すことは決してしない。

 強くあれ 強くあれ


 

 

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嗚呼 桜野 叶う @kanacarp

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