自分勝手な弟が『ざまぁ』スキルを手に入れた!? ヤバイざまぁされる!?と思っていたら、どうも様子がおかしい
にがりの少なかった豆腐
弟がスキル『ざまぁ』を手に入れた!?
「きょきょきょ! ゴミ兄ぃ!! 俺はすんばらしいスキルを手に入れたぁ!!!」
「え? 何いきなり」
久しぶりに実家に帰ってくると弟が叫びながら俺の自室にノックもせずに入ってきた。
この弟、兄弟の中で俺の1つ下なのだが、少々どころではなくかなり自分勝手だ。自分の失敗は他人の所為にして、他人の功績は自分のものにする。大半はバレるが懲りずに何度もやらかし、成人しているにも関わらず実家から出て行かない。
いや、これは親が外に出すのは恥以外の何物でもないと判断して、実家に閉じ込めているだけなのだけどな。いや、それが無かったとしてもおそらく出て行きはしないだろう。
そんな弟が言っているスキルとは何なのだろう。おそらくろくでもない物だろうが、話を聞かなかったりすればずっと付きまとってくるため仕方なかく話を聞く。なるべく早く終わると良いのだが。
「ひょーひょひゃぁっ!!」
いやもう変にテンションが高い。可能ならすぐさま話切り上げてどこかへ行きたいのだが、今は仕事中であり、俺の前には書類がいくつも広がっている。書類は弟が入って来て直ぐに見えないようにしているが、このまま部屋を出て行くと弟は確実の書類の中身を確認するだろう。
「それで、何のスキルを手に入れたんだ?」
「『ざまぁ』あああスキルだぁああ!!!」
「は?」
いや、ちょっと待て。『ざまぁ』スキルだと!? かなり伝説に近いスキルだよな? 何で弟が手に入れているんだよ。こいつ努力って言葉から無縁のやつなんだが。いや、そもそも取得条件がわかっていないから偶然条件を満たしたのか?
『ざまぁ』スキルは、昔から時折出て来る伝説級のスキルだ。スキルを所持している者に対して理不尽な行いや、苛め罰などを与えた相手に対して相応の罰を与えるスキルと言われている。
言われている、と言うあやふやな理由は『ざまぁ』スキルの所有者が少なく、且ついつの間にか居なくなっているため、スキルの効果を正確に把握できていないからだ。
「これでこれで、俺をここに閉じ込めているあいつらや俺を馬鹿にした奴らに復讐が出来るぅう!!」
序でに言うとあいつらが両親で、馬鹿にした奴らと言うのはかなりの数に上るが、大体はこの家に仕える使用人と学園時代の同年代だ。おそらく俺もこの中に入っている。
これは拙い。と思うと同時にスキルである以上、どうにもできない現実が俺に頭痛をもたらした。
これはまず先に親へ知らせをやらねばならないと、判断している中でも弟は最大限に興奮した様子で声を出し続けている。
「まずはあいつらからだ。これを閉じ込めているやつには制裁が必要。ああ、そうだ。罰として金を奪おう」
「ここで、そんな話はしない方が良いんじゃないか?」
「ゴミ兄はいいんだよ! 俺より低能だから知ったところで何もできない。今までもそうだった!」
単に対応が面倒だから受け流していただけなんだが、そう思われていたのか。かなり自分にとって都合のいいように解釈しているようだな。まあ、今となっては都合はいいか。
「なぁ、ゴミ兄も一緒に復讐しようぜぇ?」
「すまん。明日からまた仕事なんだ。付き合えそうにない」
本当なら後2、3日ゆっくりする予定だったんだが、仕方がない。変に絡まれる前に出て行った方が良いな。
「けっ! 何だよ! せっかくいい想いさせてやろうと思ったのによ!」
弟はそう言い放つと同時に俺の部屋のドアを蹴破って外に出て行った。おい、この部屋の扉は内開きなんだが、どうすんだよこれ。扉閉められないじゃないか。
と言うか、いつの間にあそこまで力が強くなったんだ? まさかスキルの影響?
そう思いつつも、広げていた書類を鍵のついた棚にしまった後に扉の取り換えを使用人に頼みに行き、その足で両親に弟のことを報告に向かった。
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