第2話 毒竜の竜魔人

 ノックで扉を開けると、唯一背中を預けられる同胞、髪も瞳も毒竜の紫色の娘、毒竜の竜魔人レイラが居た。

 俺の髪も瞳も、今は氷竜の蒼色だ。

「ジェスター様、お早うございます。どうしました?」

「いや、久し振りに宿に泊まったから、昔の夢を見た」

 正確には元宿屋、現在は只の空き家。宿屋の一家は既に避難した。

 このザースの町は町1つの小国、平野のど真中の都市国家、帝国の東部方面軍を迎え撃つ戦力もなければ立地も悪い。詰まり、町ごと国ごとの避難だ。

「今日の組で避難は最後でしたね」

「冒険者ギルドへ行こう。レイラ、君のベノム・トラップを見て、ちょっと提案が有る」

 干し肉を噛りながら冒険者ギルドに、ギルドマスターを探す。

「ギルマス、提案が有る。東部方面軍にこのまま楽に渡すのは悔しい。このザースその物をトラップにしたい」

「ほう、どうするんだ?」

「俺は氷竜を呼ぶ。レイラは毒竜を頼む。もちろん、その他にも妖精王・精霊王の召喚、ブリザード・トラップ・・・」

 おいおい、そこまで遣る積もりか?

「面白い、どうせこの町には戻れないからな、徹底的に遣れ!」

「了解」

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