悪役貴族に転生して~ガチで詰んじゃう侯爵家嫡男~

たましぃー

プロローグ 「死そして転生」

「はぁ、疲れたなぁ。」


やっと学校がが終わって放課後になった。


「一緒に帰らない?」


こう聞いてきたのは俺こと『相模太一さがみたいち』の幼馴染である『天堂奏てんどうかなで』。

俺の幼馴染でめちゃくちゃイケメンだ。といっても男子ではなくめちゃくちゃイケメンな女子なのだ。


男子はもちろんだが女子にもめちゃくちゃもてる。俺は幼馴染で仲がいいうえに、どっからどう見ても軽薄なチャラ男にしか見えないせいか、こいつのファン?に睨まれることまである。


今日は早く帰らなければならないし一緒に帰るのは遠慮しとくか。


「悪い、今日は碧と帰るからまた今度な」


「そう…、分かった。またね」


別に奏も入れて三人で帰ってもいいので少し悪く思ったが、まぁいいだろう。


校門につくと俺と同じように髪を染めた奴が立っている。

こいつが俺の親友の『谷川碧たにかわあお』。


中性的な見た目で、高校が始まったばかりの時は人気だったが、俺と絡んでいるせいか最近は周りから距離を置かれている印象だ。


「遅いよ、太一」


「悪い、ちょっと奏と話しててさ」


別にそんな時間経ってねぇだろ、と思いながら言うと


僕のこと待たせるなよ、と言ってきた。碧は少し自己中心的なところがあってそれも敬遠されている理由の一つみたいだ。俺的には強がってるみたいで嫌いじゃないんだけどな。


「ごめんって、帰ろうぜ」


「うん、分かったならいいけど」


碧とたわいない話をしながら歩いていると俺の家が見えてきた。


「じゃ、また明日」


「うん、じゃあね」


鍵を回し、家の中に入ったがいつも通り誰もいない。両親は忙しい――実際は知らないが――らしくほとんど家には帰ってこない。


そのお陰でセフレともヤりやすいんだが、やはり家に一人でいるのは退屈で、奏や碧と遊んでいない日は暇をしている。


「…部屋で寝るか」


そう誰ともなしに呟き、階段を上っていると、突然地面が揺れた。さほど大きな揺れではなかったが、気を抜いていた俺は足を滑らせてしまった。


ヤバッ、と思った瞬間には


ドンッ


と全身に衝撃がはしった。


気付いたときには俺の体は階段にたたきつけられていた。身体を動かそうと思っても動かない。


(もしかして俺このまま死ぬのか…?まだ奏とヤってねぇし死にたくない……)


そんなことを考えていると段々と視界にモヤがかかっていき


――暗闇に包まれた




◇◆



暖かさを感じ目を開けると俺は白い部屋にいた。


「目が覚めた…?」


いきなり声をかけられそれに反応するように振り向くとそこにはきれいな女性が立っていた。


瞳はサファイヤのように透き通った蒼さで、髪は夜空のように美しい。ややスレンダーな体型で、纏う衣服は派手ではないが彼女の美しさを引き立てていた。


「お前は誰なんだ?それにここは――」


と質問しようとすると、


「私の名前はお前じゃなくてテトラ、テトって呼んで」


「あぁ…テト、ここはどこなんだ?」


「ここはあなたの世界でいう天界のようなもの」


「天界?ってことは俺死んだの?」


かなりの大怪我なんじゃないかと思ってたけど、それどころか死んでたってことか。確かにテトは見た目は美少女だけど威厳を放っているし神様的な存在なのかも。


「俺まだ奏ともやってないのに死んだってこと?テトの力で生き返れないの?」


テトは神様みたいな雰囲気を醸し出しているし、俺を生き返らせてくれないだろうか。


「天界からあなたを見てた、あなたはクズだけど持ってるエネルギーは凄まじいの一言」


散々な言われようだが褒めてはくれているのか?そんなことを考えているとテトはまだ話を続けた。


「私は違う世界を治めている神の一柱、その世界の均衡を保つためにあなたを転生させたい」


「俺を転生させてくれるってこと⁉」


「そう言ってる」


転生はしたいけどどんな世界なのかは気になるな。剣と魔法の世界で俺TUEEEとかしてみたいし。


「どんな世界なんだ?出来れば剣と魔法の世界とかが良いんだけど…」


「そういう感じの世界、ただどんなスキルを持って生まれるかは分からない」


なんか心を読まれたみたいで恥ずかしいな。


「みたい、じゃなくて読んでる」


「え⁉読めんの?」


「うん、さっきの美少女っていうのも…やっぱりなんでもない」


「え?何言おうとしたの?教えてよ」


「ダメ」


そんな感じで押し問答をしているとテトが


「…そろそろ転生させる、準備はいい?」


転生って言われても実感は湧かないが覚悟は出来た。


「あぁ、やってくれ」


「分かった、特に何も出来なくて申し訳ないけど…」


「いいって、テトのこと見れただけども良かったし」


「…ありがと、頑張って」


――あなたに闘神テトラの加護があらんことを――


そう聞こえた瞬間、俺の視界は暗闇に包まれた。











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