空気
勝利だギューちゃん
第1話
「空気が美味しい」
田舎の駅に降りた。
都会とはまるで違う。
小学生の頃は、夏休みに父の田舎に里帰りするのが、楽しみだった。
(ちなみに、母の田舎で暮らしていた)
祖父母も、僕が行くのを喜んでくれていた。
やはり、孫はかわいいのだろう。
当時は、完全な田舎だった。
でも、それがよかった。
しかし、中学生になると、来なくなる。
高校や大学、社会人になるとなおさらだ・・・
でも、祖父母もかなり前に他界し、父も亡くなった。
そして、懐かしくなり、久しぶりに訪れた。
やはり、10年以上経っているので、多少の発展はあった。
でも、自然の多さは変わらない。
「随分会ってないけど、ゆきちゃんは元気かな」
ゆきちゃんとは、いとこの女の子。
僕と同い年。
父には兄弟が多く、いとこも多い。
でも、同い年なのは、彼女だけだった。
大人しい僕と違い、とても活発だった。
子供の頃は毎年会っていたので、よく外へ連れ出された。
「よっ、元気」
肩を叩かれる。
振り向くと、そのゆきちゃんがいた。
「ゆきちゃん?」
「元気そうだね、まーちゃん」
「何とかね・・・。ゆきちゃんは?」
「元気だよ。」
当時は、髪が短かったが、今は肩まで伸びている。
「ゆきちゃんは、雰囲気変わったね」
「まーちゃんが、変わらないんだよ。」
僕もゆきちゃんも、既に両親はいない。
「ゆきちゃんは、何しにここへ?」
「まーちゃんと、同じだよ」
「そうか」
「うん」
ゆきちゃんは、微笑む。
「じゃあ、おじいちゃんとおばあちゃんに、会いに行こうか」
「そうだね。喜んでくれるかな。まーちゃん」
「きっと、喜んでくれるよ」
こうして、ふたりで会いに向かった。
空から、雨が降り出してきた・・・
空気 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます