本当の自分


いやいや、考えても仕方ない事だ、今はこれで行くしかないと男は思い直した。


あの不思議な未来からのメッセージを受け取った後でなんとも言えない心境になったのを思い出したからだ。


自分では出世や名声などは求めていないと思い込んでいた、しかし、違った。


現在の価値観で言うところの不遇で終わると言われた時に、自分も現在の価値観にどっぷりと浸かっている一人なのだと痛感させられたのだ。


いや、厳密に言うと違うのかも知れない。


男は単純に経済的に裕福になっても、満足しないだろう。


つまり、強烈な自己承認欲求という現代の新たな価値観に翻弄されているのかもしれなかった。


いづれにしても良い、多少順番を変えるだけの事。


世間に認められるのが先で、その後、持論を突きつければ良いはずだと考えていた。


私の持論はおそらくそれでも社会に受け入れられないだろうが、遠い遠い未来で役に立つのであれば無価値ではない。


そう考えて自らを納得させていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る