理想の相手、見つけちゃいました
みょうじん
第1話 我が理想の女子/男子
俺、
故にまずは自分の理想を考えることから始めよう。
そんなことを腕を組みながら自室の机の前で考えている。時刻は深夜0時を回ったところ。普段なら布団でスヤァとしているところだが、何となく眠れず自問自答するに至ったのだ。布団の中で眠れずに変な思考が頭をぐるぐる回るという経験は誰にだってあるだろう。
理想の女子。恋愛について考える前に、まずは相手がいないと話にならないからな。
浅ましい考えかもしれないが、まずは外見から考えてみよう。
上から順だと……髪型かあ。と言っても、高校生の俺からすると黒髪のイメージしかない。長さはセミロング。綺麗な真っ直ぐストレートだったら嬉しい。俺の髪の毛は固くてつんつんしがちだからね。自分で頑張って前髪を切ってみてその長さに一喜一憂するとかいい。本人にとっては笑い事じゃないのだろうけれど。
顔……目は軽くツリ目で目力が強そうな感じかな。ちょっとそれを気にしていると良い。そうすると性格も結構恥じらいがちだということになりそうだが、めちゃくちゃ可愛い。
背の高さは少し高めだろうか。さっきのツリ目と合わせて気にしているのだろう。は? 最高かよ。
そうなると胸も控えめスレンダーとくるに違いない。
年齢は同い年だ。というか、年上や年下と付き合うとか想像が及ばない。
趣味として……小説を読むのが好きだけど、たまに運動することも嫌いじゃない感じ。俺の理想を押し付けすぎかも。
ここまで総合して考えると、性格は積極的ではなくやや消極的。どちらかと言えば、おとなしめの女の子がいい。普段はそうでもないけど、意外と恥ずかしがり屋。でも、好きな人とはたくさん話したい。
か、可愛すぎる! もっと詰めて考えてみよう。
いつまにか空は完全に明るくなっていた。時間を見てみると、朝5時……5時!? 明日はまだ平日だっていうのに、俺は何をしているんだ――ここで気づいた。気づいてしまった。
これ、中二病じゃね? こんな妄想をノート一杯にびっしり書くなんて痛いんじゃないか?
急に恥ずかしくなって、俺はノートを捨てようと……やっぱり一応取っておこう。一応ね。とりあえず机の引き出しにしまって……一番下にしておくべきだな。誰かに見られたら死んでしまう。
え、この後どうしよう……いや、ここから寝たら絶対に遅刻してしまう。シャワーを浴びてこのまま高校に行くべきじゃないかな。自分の机に突っ伏して多少でも身体を休めよう。
◇◇◇
私、
故にまずは考えることから始める。
そんなことをベッドに仰向けに寝っ転がりながら考えている。時刻は深夜0時を回ったところ。普段なら布団でスヤスヤぐっすりなんだけど、なんとなく眠れなくてそんなことを考えてしまっていた。理由もなく眠れないのに変に思考が冴え渡っていること、皆あるでしょ?
理想の男子。恋愛について考える前に、まずは相手がどんな人なのか考えないと始まらないよね!
女子高生らしくまずは外見から。
上から順だと……髪型。清潔感のある黒髪かなあ。金髪とか茶髪だと、ちょっと大人というかワルなイメージをどうしても持っちゃうね。うーん、でもサラサラな感じよりも軽くつんつんしているのがいいなあ。私は極端に真っ直ぐな髪質だから(しかも最近自分で切って失敗した。死にたい)、そういう男の子っぽい感じに憧れちゃう。長さは変に長くなければいいんだけど、あえて言うなら短めの方がいいかも。最近は女の子っぽい髪型の男性とかしっかりセットした方もたくさんいるんだろうけど、そういう感じじゃなくて……あくまで自然な感じ。うん、そうだ。そういう感じの髪、めっちゃ好きかも。
目尻はちょっとたれていて、優しい感じだと憧れちゃう。私がどうしても目つきが強めだから……ほんとにこれ、イヤ。自分に無いものをっていうわけじゃないけどさ、優しそうな顔立ちの男の子ってすごくいい。性格もそれに合わせて優しそうな感じで。でも、男の子っぽく少し強気で引っ張ってくれる面もたまには見せて欲しいかも。
背丈は私より高いといいな。女性でも背の低い子は可愛らしいし、高い子はカッコいい。私はどっちつかずの中途半端な少し高めだからこそ、相手の背の高さを気にしてしまうんだ。ハグしたときに鼻が胸につくくらいで……あ、どきどきしちゃう。
体格は細すぎると折れちゃいそうだし、筋肉質すぎるのも怖い。だから普通が一番だね。
年齢は同い年が絶対いい! というか、年上や年下と付き合うとかどんな感じになるかよくわかんないや。
性格は基本的におとなしい感じだね。積極的すぎると私が引いちゃうけど、でも消極的すぎても困っちゃう。普段は小説をよく読むけど、たまにはスポーツとか楽しむとかだとカッコいい。
たくさん話してくれる、というより静かな時間が苦にならない、そういうのが私は好き。でも、私がわたわたとたくさんお喋りしたいときには、笑顔で聞いて欲しいな。
こんな人いたらどうしよう! カッコ良すぎる! もっと色々考えてみよう。
……時間はすでに朝5時。嘘でしょ。空が白むという次元ではなく、完全に日は昇ってしまっている。私、ほんとに何しているんだろう。今日もこれから学校があるのに……。
でも、ここで気づいてはいけないことに気づいてしまった。
「完全に中二病だよ……」
こんな妄想をノートに隙間なく書いちゃうなんて。でも捨てるのもなんか勿体ないから、とりあえず鞄の底に入れておこう。……忘れた頃に見返して死にたくなりそうね。
今から寝ると絶対に遅刻する、これは。仕方がないので、シャワーを浴びてこのまま高校に行くしかない。自分の机で突っ伏して多少でも眠って授業に備えることにしようかな……。
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