商談交渉2
受付嬢さんが別室を用意すると言い残して奥へと入って行き待つ事数分…
「お待たせ致しました。ご案内いたします」
部屋の準備が済んだらしい受付嬢さんが受付脇の通路へと案内してくれる。
受付嬢さんの後ろをついて行くと商談室と書かれた部屋に案内された。
というか、見たこともない文字なのに勝手に文字が変換されて内心驚いた。
「いかがなさいました?」
「いえ、商談室に案内されるほどのような物だったんだなぁと思いましてね」
自分の動揺を見られたのか受付嬢さんが俺の様子を気にしてくれたようだが、俺は当たり障りのない返答をすると納得したような面持ちでここへ案内した理由を俺の耳元に近付き教えてくれた。
「簡易の鑑定ではありますが、あの品は非常に貴重な物であると判断させていただいた結果です。ここは商業ギルドですので、他の商人には聞かせられないような内容の物も持ち込まれることもあるので、言うなればトラブル防止のための個別商談という
そう言って俺から少し離れると悪戯っぽく微笑んで俺の反応を見てくる。
近付かれた際に感じられた女性特有のいい香りに少しドキッとさせられたが、そこは大人の余裕で何ともない感じで返答をする事にした。
「なるほど…そこまでの対応をしていただけるとは思っていませんでした。格別の対応痛み入ります」
そう言って微笑み返してやると受付嬢さんは一瞬ポカンとした表情を浮かべほんのり頬を紅く染めた。
ん?なんか俺変な事言ったかな?
少し首を傾げると慌てたように再起動した受付嬢さんが部屋の扉を開けて室内へと促す。
「あ…し、失礼いたしました…では中へお入りください」
「失礼します」
促されて入った商談室の広さはおよそ6畳ほどの大きさで、部屋の中央に対面式の大きめなテーブルと椅子が設えられているだけの質素な物であった。
「そちらへお掛けください」
指示された椅子に腰掛けると、対面側に受付嬢さんが座り、持ち込んだ50円玉を高級そうなトレイに乗せてテーブル中央へと置いた。
「それでは改めて査定を続けさせていただきます。引き続き担当させていただきますクレアと申します。今回持ち込まれたこちらの硬貨…でよろしいのでしょうか?先程『鑑定』させていただいた結果ですと、40万ガーデで買い取らせていただけたらと思うのですがいかがでしょうか?」
おや?40万ガーデとな?
さらっと自己紹介を含めて鑑定額を提示してきたクレア嬢だったが俺の鑑定結果に比べるとだいぶ下回った提示額である。
ははぁん…なるほど…
これは駆け引きってやつですな?
商業ギルド側としては当然の事だが、安く仕入れられるに越したことはないだろう。
だが今回に限っては俺も譲るわけにはいかない。
何せ今の俺は無一文。
ただでさえ身分証明書の効果も薄いため、買取価格が5割減での交渉からのスタートなのだ。
よかろう…受けて立つ!
「申し遅れましたが私はキーダと申します。改めてよろしく…しかし、ふむ…40万ガーデですか…実は私も『鑑定』のスキルを持っておりまして、私の鑑定によりますと、この持ち込んだ硬貨の価値は最低でも50万ガーデの価値があると出ているんですがね?」
「っ!?さ、左様でございましたか…キーダ様も人が悪いのですね…失礼ですがお客様の『鑑定』スキルのLvはおいくつなのでしょうか?そのLvによっては『鑑定』の内容にも誤差が生じるので参考までにお聞かせ願いたいのですが…」
キーダというのはあくまで偽名だ。
自分の名前を逆さ読みにしただけの安直な偽名ではあるが、どうせこっちで生活することになるのであればわざわざ本名を使う必要も無いし、和名もこの世界じゃそう多くはないだろう。
和名があったとしても出身地の違いなどで存在するくらいじゃないかと勝手に想像しておく。
それにしてもスキルのLvによって見える内容に誤差が生じるのか。
だとするとスキルのLvってのはいくつが最高になるんだろうか?
俺のステータスだと頭にUが付いて完全鑑定Lvーって表記になってるから分からんのだよね…
「質問を質問で返すようで申し訳ないのですが、スキルLvの最大値というのは幾つになるのでしょうか?というのも私は『コチラ』に来て間もないのでそういった常識に疎い所が多々ありましてね…正直なところ右も左も分からないんですよ」
いやぁまいったと言いながら苦笑いで自分の頭をポンポンと叩く。
実際言っていることは本当の事だしな。
俺はこの世界に来てからまだ数時間も経っていない。
異世界転移の特典かどうかは知らないが、文字が読めたり言葉が解ったりしてる辺りはテンプレながらも助けられてはいるが、それ以外となれば全くもって未知の世界でしかない。
こちらでは当たり前の事だろうと、文字通り住む世界が違ったただのおっさんである。
むしろ知らない事しかないまであるなぁ…
俺の様子にキョトンとした様子で面食らっていたクレア嬢だったが、親切にこのように教えてくれた。
「え、え〜っと、スキルLvの最大値は10と言われておりますが正確なところは文献で残っている資料内容でしかないため解っておりません。ですが、高名な方が公開している内容では、スキルLvが9だった時にLvが上がった際に表記されたのがLvMAXであったとの報告から、世間ではそこが最大値であろうと言われておりますね」
とても分かりやすい説明をありがとうございます。
となると、やはり俺のスキルは別枠って事になるのかな?
「なるほど…では一般以外のスキルで特殊なスキルとかは存在するんでしょうか?例えば世界に1人しか持てないスキルとか特殊な条件でしか取得出来ないといったスキルとか」
気になったのでついでに聞いてみた。
「ございますね。そういったスキルはユニークスキルやエクストラスキルと呼ばれています。この二つの違いとしては先程キーダ様が仰られた世界に1人しか持てないスキル、こちらをユニークスキルと呼んでおり、いくつもの条件を満たして取得するスキルをエクストラスキルと呼んでおります。見分け方としては各スキルの最初の部分にUまたはEXと表記されるようなのですぐ分かるようですね」
「なるほどよく分かりました。ありがとうございます」
俺が持ってる『完全鑑定』はユニークスキルだったらしい。
いや、何となく特殊なのかな?とは思っていたけどさ…
まぁこのスキルがあって損をすることは絶対に無いだろうし、奮発してくれたエルガイアには感謝しかないな。
心の中でエルガイアに最大限の感謝をすると、何となくだがドヤ顔でダブルサムズアップしている女神様がうっすらと想像出来た。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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サポーターになんてなっていただけたら作者の私は狂喜乱舞する事間違いありません。
今後の展開としてはいずれえちえちな展開も含めていくつもりではありますが、あまり内容が****ですとアレコレ抵触しちゃいそうなので本編中はソフトに、激しい感じなのはサポーター限定公開といった感じで分けていこうと考えております。
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