もしも社畜が10億円手に入れたら。
俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き
一章 宝くじは当たり、会社は辞める
第1話 狂った社畜
突然だが、この世で最も信用できない言葉はなんだろうか?
怪しげな格好のおじさんが言うツボの勧誘?
変な顔したババアの宗教勧誘?
いいや違う。
この世で最も信用できない言葉。それは、
定時退社。完全週休2日制。残業なし。アットホームな職場。ボーナス年2回。自由有給休暇。働き方改革...............etc...だ。
ああ、一見すれば素晴らしい社会保障だろう。ホワイト企業だろうよ。
でも、そんなのはまやかしだ。
定時退社。これの裏を返せば、定時にはタイムカードを押し、そこから働こうね♡ということだ。
完全週休二日制。これの裏を返せば、休日来たときはタイムカード押さないでね♡ということだ。
残業なし。これの裏を返せば、残業はないんだから残業代を請求しないでね?勝手にやってるんだもんね♡ということだ。
アットホームな職場。これの裏を返せば、経営は身内でやるよ♡ということだ。
ボーナス年2回。これの裏を返せば、ボーナスやるんだから基本給が多少低くてもねぇ?♡ということだ。
自由有給休暇。これの裏を返せば、自由なんだから来てもいいし、取らなくてもいいんだよ♡ということだ。
働き方改革。これの裏を返せば、上層部は帰るけど、君たちは勝手に働いてるんだよね♡ということだ。
俺、
「はぁぁ」
大きくため息をついて外を見る。
大通りに位置するこのビルからは、街の様子がよく見えた。
コートやらを羽織って二人しておんなじマフラーに包まり、笑い合うカップル。
うん。あのひらひらとたなびくマフラーの先っぽを思いっきり引っ張ってやりたい。
希望しか見えないといったようにギターを弾くお兄さん。
うん。あの弦をぶち切って世の中甘くないってことを小一時間説いてやりたい。
そんな犯罪的なことを考えながら、就業時間ギリギリ、滑り込みセーフとばかりに頼まれた見積書の一番上を撫でる。
「何でも聞けよからの、くだらないことを相談するなからの、勝手なことをするなからの、ホウレンソウはどうしたからの、口答えをするな。はぁ、明らかな理不尽ループ」
不平不満を言葉をどれだけ呟けども、目の前の書類の束は減らない。
『お前は一生このオフィスの綿が出掛けている椅子で過ごすんだ』とでも言いたげな、PCディスプレイに映る初期設定のイタリアの風景。
くそっ!ムカつくぅ!!!
俺は手を振りかざしディスプレイを殴ろうとする……………が、既のところで止める。
「イタリアに罪はない。イタリアに罪はないんだ……」
そんなことを口の中で転がし、ついには
「あぁァァァあぁあああああっ!!! かちょぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!! ぶぅちょぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!! しゃぁあぁぁああああああああちょぉぉぉぉ!!!! しぃぃぃぃねえぇええええええ!!!!!!!」
オフィスの中心でストレスを叫ぶ。
年末近くの時期の深夜オフィスで多数目撃されるアタオカリーマン状態。
「しぃぃぃぃぃいねぇぇぇぇえええええええ!!!!!!!!!!」
そう叫んで、書類の一番上の忌々しい課長印をボールペンでぐちゃぐちゃにしようとペンを振りかぶるが………………勢いそのまま、PC横のペン立てにしまう。
突然訪れる虚無感。ブラックにブラックをかさね、もはや見えないほどまでの漆黒になるとなんか楽しくなることもある。叫ぶこともある。
けど、それも一過性のもの。直ぐどうしょうもない孤独感と、この書類やらなきゃなというある種の義務感が訪れるのだ。
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