蹴りかけの足

町でだれも私を知らない

寂しいふりをしながら

本当は喜んでいる

逃げていてもどこかに進んでいるみたいに

見えるでしょ 見えたでしょ


これも誰に言ってるんだろう

誰かに届くと思い込んで

涙はいつでも出せるけど

泣いていいよなんて言葉を求めていたら

逃げるでしょ 逃げたでしょ


邪魔になったもの全部を

どうにかしたかったから

どうにかしようとして

振り上げた足が

過去の私に当たって

汚れてしまった靴


町で知り合いに会ったら

寂しさを知ってしまう

私 私だったけど

私 私じゃなかった

私 私に見えて

私 私から逃げた

そんなこと そんなこと

全部どうでもいいあなた


誰も私を知らない町を

取り戻すために

消えるのはどっち

蹴りかけてやめた

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