犀の夜

私、犀なの

大きくて強くて

独りきりの犀なの


くじけそうな思いが

涙になるのは

幸福よ

犀だから泣かない

犀だから泣けない


私、夜を育ててるの

いつか大きくなって

世界を食い破るの


風があるから

夢は運ばれてくる

目を開けたら

誰かが誰かを探している

私はただ

それを見ている


私、犀なの

零れ落ちる星の香りに

一人だけ気づけているの


夜が遠くなっていく

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