ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!

@roroa

序章 仮採用の訓練は実戦でした

プロローグ


モンスターが攻めてくる


邪妖精レッドキャップ

彼らは白い帽子をかぶっている


自分達の弓矢で仕留めた獲物の血で、自らの帽子を染めることを至上の喜びとすることから付いた名前だ



「見習い下がれ!」


「うわあぁぁぁぁぁ!!」


ドス! ドスッ!



矢が何本も降ってくる

何とか岩陰に隠れて、降ってくる矢から身を隠したが…


「うわっ!? ごほっ…」


もくもくと黒っぽい煙が、降ってきた矢から上がってくる



「こっちに来い! あいつらの目的は矢に付与された魔属性魔法だ、呪いで動けなくなるぞ!」


「は、はい!」


俺は何とかその場から脱出し、今日の俺の指導隊員のところに行く


「遊撃1から作戦本部、レッドキャップをポイント7に集めた。やってくれ!」

指導隊員がインカムで連絡する



森の中での戦闘は、レッドキャップ達の十八番だ


俺の武器はアサルトライフルだ

アサルトライフルと弓矢、本来なら勝負になるはずもない

一秒間に吐き出される弾数を考えれば明らかだが、障害物だらけの森の中だとそうもいかない


奴らは闇魔法も得意としていて、魔属性の呪の霧の魔法を矢に付加してばらまいてくるのだ

曲射で空から降ってくる矢の雨も危険極まりない上に、森の中を呪いの霧で面制圧されると、中々厳しい



「ど、どうするんですか!?」


「障害物の多い場所では範囲攻撃が有効なのは分かるだろ? まあ見とけよ」


俺は、言われた通り岩陰に隠れて成り行きを見守る



ビュゥゥ…


突然風が吹き始め、耳に違和感と痛みを感じる



「気圧が…?」


「そうだ、Cランク魔法使いの範囲魔法(大)だ。滅多に見れないからお前は運がいいぞ!」



ゴォォォォ…


更に風が集まっていく…




ドドドドドドォォォォォォォーーーーー!




唐突に前方から暴風が通り抜け、砂煙と大音響に包まれる




………




……







「え…!?」


目を開くと、目の前に空き地ができていた



「風属性魔法で上空からダウンバーストを起こし、範囲内を風で叩き潰すらしいぞ。こいつは凄いな」


「こんな凄い魔法使いがいるんですか…!」


「飛竜落としって通り名の魔法使いだ。よく聞く名だぜ」


「…凄すぎる」


「さ、呆けてないで行くぞ。あの魔法使いが凄いのは認めるが、所詮人間なんだ。守ってやらなきゃ狙撃されて一発で終わりだからな? お前も役割と戦術をしっかり覚えるんだぞ」


「は、はい!」



俺達が移動を始めると、すぐにインカムが鳴る


「作戦本部から遊撃1! 魔法班が震竜種に襲われている、至急応援に向かってくれ!」


「震竜!? 何でドラゴンがこんなところに!? 了解、遊撃1、見習いと直ちに向かう!」


インカムを切ると、指導隊員は俺に声をかけて走り出す


「行くぞ!」


「はい!」


ちなみに、震竜というのは四足歩行の大型ドラゴンを指す

ドラゴンは前足の使い方によって名称を決められていて、翼なら飛竜、ヒレなら水竜、腕や爪として使うなら獣竜と呼ばれているのだ


それぞれ得意なフィールドがあり、ドラゴンだけにどのタイプもしっかり強い




・・・・・・




森が開けた場所に、四足歩行の首が長い震竜がいた

口からは火炎放射のように火を吐いている


魔法班の魔法使いが三人、それぞれ魔法を撃っているがあまり効果が無いようだ


「ダメだ、魔法耐性が高い! これは属性の問題じゃないぞ!」


特技スキルを使える奴はいないのか!?」


「今回はいない! くそ、魔法なら防げるがブレスは無理だ…」



戦場は混乱していた

震竜の出現が完全に想定外だったからだ


震竜は突然森から現れたらしく、どこから来たのかは不明だ



「見習い、そこのテントからロケットランチャーを持ってこい!」


「は、はい!」


俺は指示通りに、ホバーブーツでテントまで急ぐ


「炎のブレスを防げる奴はいないのか!?」

指導隊員は、混乱する隊員達に声をかける



「俺の吹雪の盾なら、冷属性を帯びてるから短時間ならガードできるぞ!」


「私は耐熱魔法が使えるわ!」


「ここに耐熱ジェルがあるぞ!」


震竜を相手にしながら何人かが声を上げる



「よし、あいつの攻撃を集中させるぞ。吹雪の盾のお前が防御して攻撃を引き付けろ! 耐熱魔法をかけて耐熱ジェルを塗ってやれ! ブレスが途切れたら、ロケットランチャーの一斉射撃だ!」


俺は持ってきたロケットランチャーを近くの隊員に配る


「ロケットランチャーは四本ありました!」


「ちっ、少ないな…。仕方ない、ブレスが途切れたら震竜の頭に一斉射撃だ! 射線が交差しないように気を付けろ!」


指導隊員は、一気に作戦を決めて震竜に向かう


俺も陸戦銃を手に持ち、後をついていく


「行くぞ! お前もブレスが途切れたらグレネードを撃て!」


「はい!」



震竜が、隊列を組んで集まった俺達を見つけて近づいてくる


「来るぞ!」



ボオォォォォォーーーーー!!


凄い熱量の炎が吐き出される



「俺のをなめるなーーーー!」


青白い大盾を構えた兵士が前に出て炎を受け止める

あの炎を止めるとは、さすがは吹雪の盾というだけはある


何とか炎を受け止め続ける兵士

魔法使いの隊員達も風属性や冷属性の魔法で援護し、ブレスの炎を弱める



やがて、炎が止んだ


「撃てーーーー!」


声に合わせて俺もグレネードを撃つ



ボシューーー! ボシュッ!ボシューーー!



ドゴォォーーーーーーン!!



四発のロケットランチャーと数発のグレネードが振竜に着弾し、次々に爆発


これだけ火力を集中させればかなりのダメージらしく、さすがの震竜も地に倒れた



「頭を狙え! 撃てーーー!」



ドドドドド! ガガガガッ!

ババッ…ババババッ…!



倒れた震竜の頭にそれぞれが一斉射撃

震竜は頭をミンチにして絶命した




…これが、見習いとして参加した俺の初の戦場だった


防衛軍は国を守る仕事

自然発生するモンスター退治、戦争中の隣国からの国土防衛

銃、砲、魔法や武器防具、あらゆる装備を使って任務を遂行する


防衛軍は、俺が思っていた以上に過酷な職場でした


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