第1話 少年時代

いつから人々は彼のことを救世主と呼び始めたのだろう。

救世主となる前の話、彼は何の能力も持たない、普通の少年だった。


ただ少し変わっていたのは大人になるまで彼はほとんど人々と話をしなかったということだ。


話をしても、ぼそぼそと小声で話し、心もここにあらずという感じだった。


先生も親もいつもそんな調子の彼を見て、それが普通だと思っていた。

本当に小さなときは無邪気な子供だったのに。

救世主のお顔は学校に通うようになり、能面のようになっていった。



なにがあったのか、なぜ話をしなかったのか?救世主はあまり、それについては語ろうとはしなかった。


ただ、顔は能面のようだったが、救世主はいろんなことを感じ、考えていた。


救世主自身も自分はどこかがおかしいと思いながら、小さな少年にはなすすべはなかった。

自分にもなぜ声をだせないのか分からなかった。


周りからは気味が悪いと言われ、時には同級生に石を投げられた。

彼は、とても孤独だった。


そのことと、救世主と成られたことへの因果関係は分からない。


だだ、少年時代はとても大人しく寡黙であった。

そしてそれは、辛い日々だった。







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