億トレ

6話 天才トレーダー

満は、株トレードのみで、16歳〜18歳の約2年間で29万円を1億円に増やした「億トレ」だ。

Twitter上ではtakayanという名前のアカウントで、フォロワー数は現在6万人。SNS上では年齢・職業等は一切明かしてないが、この世界では有名人だ。

基本的に使う手法は「移動平均線・出来高・移動平均線乖離率」3つだけ。

保有株に対しての経営分析、決算確認、等ファンダメンタルズ分析はほとんど行わない。

「現在のチャート」を見ただけで、過去の蓄積した経験から「買い or 売り」の判断を行っている。

勝率は4割程度だが、リスクリワード比率は3(平均利益が3に対し、平均損失1)を継続している。

資産1000万円までのポジションサイズは超強気だった。基本的にはフルポジで、勝負時にはレバレッジ2倍になる事はザラだ。億トレになった今では、レバレッジをかける事はほとんど無く、ポジションサイズも小さくなった。

ここまでが、トレーダーとして1億円増やした「現在の僕」の自己紹介だ。

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ハイパーエージェント株で敗戦デビューをしてしまった「億トレになる前の満」は「トレーダーは(正しい)経験が必要」と感じていた。

現代のテクニカル投資家にとって、経験を積む事は簡単だ。過去のチャートを見返してけばいい「だけ」だから。

満は、ハイパーエージェント株の「15年前の上場から現在までのチャート」を調べる事にした。具体的には、①次の日のチャートを隠し、まずは自分で見える情報から翌日株価を予測。②次の日のチャートを表示し、また翌日株価を予測。③また次の日の、、、といった事を15年分。④そしてもし急騰、急落してた際は、当時のニュースを検索し、どういった出来事が株価に影響を与えているかを分析した。

また、2年間で書物も有名所はほとんど読み漁ってきた。お気に入りは「タートルズ」と「リバモア」だった。

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デビュー戦の敗北から、1ヶ月程は取引をしていなかったかもしれない。

その1ヶ月ハイパーエージェント株を15年間分チャートの研究を重ねた満は、気づいた時には心の傷は既に癒えていた。

そしてリベンジする事にした。

自身のついた満は自己資金を15万円追加して

ハイパーエージェント株を今度は空売りした。※下がると利益が出る取引

ハイパーエージェントを15年分、分析した結果、分かった事がいくつかあった。⑴トレンドは一度作られたら2〜3日は決して崩れない、⑵トレンド初期(上げ始め、下げ始め)では、大きな出来高がある事が多い。

その事実から「今は空売り、今後しばらく下げ始める」と満は予測していた。

案の定翌日も下げ続け、チャンスと見た満はさらに100株、信用取引で追加した。8日後、資金は一気に50万になっていた

ここから満の快進撃が始まった。

1年後には資金は1000万を超え、そこからは毎月平均12%のリターンを上げ、18歳の今では資産が1億に達していた。

正直、200万を超えたあたりから、お金としての感覚は無くなり、ゲームをしている感じだった。