億トレ
Sara-arai
1話 放課後
僕の名前は佐藤満(18歳)。
高井戸の東翔高校に通う、どこにでもいる普通の高校3年生だ。一応この物語の主人公をやってる。学園モノでよくある「地味で冴えないタイプの主人公」だ
ただ、1億円持ってる。。。
「みつる!」廊下の向こうから、たかしの声が聞こえる。彼の名前は高嶺隆、みつると同じ2-Bのクラスメイトだ。僕らは中学校からの付き合いだ。
「芸能人ごっこやろうぜ!」
隆の悪ふざけタイムがまた始まった。
コイツは本当頭逝っちゃってると思う、芸能人ごっことは隆の考案した遊び(悪ふざけ)であり、内容はこうだ。
隆と僕はまず、じゃんけんで「芸能人役」と「ファン役」を決める。
次に隆と僕が街中で他人のフリをし、ファン役が芸能人役に対して、「もしかして佐藤さん(高嶺さん)ですか?」と問いかけ、芸能人役は「今はプライベートなのでちょっと、、」と逃げるように去って行く。
想像してもらいたい。
この、ク◯みたいな遊びを「下北沢駅 井の頭線改札を出た人混みのド真ん中」で行うのだ
近くに女子高生の4人組なんかいたら最悪だ。前回芸能人役の隆によれば、前回は15分もの間、後を付け回されたらしいw
今回3回目である。
過去2回共、隆が芸能人役になっており、自己顕示欲の塊である隆にとってもはや快感になっている感すらある。
きっと隆は、「芸能人ごっこをやりたいのではなく、芸能人役をやりたい」のだと僕は思ってる。隆にいつも言ってるが、僕は正直こんな◯ソみたいな遊びやりたくない。
しかし過去2回とも楽しかったのは事実なので、明日の学校で話すネタ程度で遊びに付き合う事にした。
「じゃーんけん、ぽん!」
「ま、まじか、、、、」恐れていた事態が起きてしまった。よりによって巻頭自己紹介で「凡人を謳っていた僕」が芸能人役をやる事になってしまったのだ。隆からのエピソード(恐怖体験)を聞かされていた僕は、頭が真っ白になってしまった。。
「まぁしょうがない!」自分に気合いを入れた満を見て、隆は少し怪訝そうな表情を隠しながらも、今日は「満で楽しむか」といった感じである。
時は来た。
満は下北沢駅井の頭線改札を、少し小走りに、そしてうつむき顔を隠しながら、芸能人オーラを出し歩き始めた。
隆は笑いを必死に堪えながらも、ファン役を徹する事にした。
「も、もしかして佐藤さんですか?」
満は一瞬隆を見た後、小走りで逃げるように「ごめんなさ、今はプライベートで、、」と小走りに下北沢の街中へ去って行った。なぜか隆の方が興奮MAXである。
満は完全に隆と逸れた。
周りを見てもキャピキャピした女子高生みたいな面子は、周りにいなかった。
(やった!誰も来ていない!)
心の中で隆は何度もガッツポーズをしていた!そして、2〜3分程周りを見渡して、(面倒くさそうな)人々がいない事を確認すると、隆にLINEを打ち始めた。。。
その時!
「あ、あのーもしかして、takayanさんですか?」と、見るからに暗そうな猫背で明正高校の制服を着ているメガネ女子高生が話しかけて来た。
満の心臓が張り裂けそうになった!
「な、なんで!?◯!☆?」
頭がパニックになりかけながらも、次の瞬間、メガネ女子の手を握って駆け出してしまった!
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