霊媒戦記

矢目詩与

第1話 霊体

「またね〜」

「また明日…、あっ。ちょっとまって!」

「どした凜祢?」

「明日って心和の誕生日だよね?」

「うん、まあ」

「今度どこか一緒に行こ!」

「うん!じゃあ、バイバイ」

「バイバイ」

いつもの会話。

友達と別れ際、またねと交わすこの一言。

今日家につくとこの風景がガラリと変わる………。

「ただいまぁ」

いつもなら飛び込んでくる勢いで現れるお母さんと弟が来ない。

どうしたのだろうか。

「あれ〜?隠れてるのかな???」

「タ…スケ…」

「えっ…、涼…?おかぁ、さん?」

そこには、見知らぬ男と、弟、涼…、そして、最愛の母が血みどろになって倒れていた。

「ひっ、きゃあぁ…っ」

「まっ、まて。俺は怪しいやつじゃない。」

「う、うそよ。だって、だってお母さんが。」

「違う、これは俺がやったんじゃない。」

「だっ、誰がやったっていうの?じゃあ!」

「…。俺の話を信じるなら、敵を取りたいと思うなら…。話す。」

「信じる!敵を取る!誰?誰がやったの…。」

「それは…」

真相を話そうとしたその男に何かが振りかぶった。

「があっ」

「えっ…、えっ?何その…化け物…?」

「逃げろっ!」

彼に襲いかかったのは

「こいつは霊体だ!おそらく二段霊体!お前も襲われるぞ…!」

「霊体…?」

「これを持って逃げろ…!」

渡されたのは

「爪…?」

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