最強魔法と最強プニプニの異世界で絆を結ぼう同盟〜魔法大国ルノアール編
@hanatuki-aruto
第1話
俺はシンク。
もう長い事人と会話していない。
最後に人と交わした言葉は別れの言葉だった。あの時の事は思い出したくもない。人と関わるのは嫌だ。
このまま誰とも関わらず、静かに過ごしていきたい。1人は気楽だ。
今日も俺は1人。自由だ。
さて、何をしようかな。そう考えた時だった。
トントン。
ドアをノックする音。俺の家のドアか??もうずっと誰も訪ねてくる事はなかった。俺もそれを望んで、こんな街から遠く離れた山奥に住んでいるんだ。それなのに誰だ??迷い人か??そう考えながら、ドアを開けた。
そして俺は凍りついた。まさか、、、
使者???それは1番会いたくない男だった。なぜ俺はドアを開けてしまったんだろう。これもまた導きなのか?
教えてくれ。マリア。
使者は絶望感でいっぱいの俺に無情にも、こう言い放った。
「シンク!私を見て打ちひしがれてる場合ではないぞ!私が来たって事はわかるだろ!!そう。使命だ。ほらっ!」
そう言って使者は後ろを向いた。
後ろにはフードを被った小さな女の子らしき存在が立っていた。らしきと言うのは、全身をフードで覆っているから全く体型も顔もわからないのだ。しかし、使者が連れてくるって事は女の子だろう。使者はそう言う役割だからな。そして、使者の申し出は絶対だった。断る事は出来ない。俺は観念して、「わかった。引き受ける。」
そう伝えた。
「じゃあ頼んだぞ!今度は何年かかるかな。」そして使者は音もなく消えていった。「中入れよ!もう使者はいなくなった。これからはお前の事は俺が引き受ける。」俺はフードの女の子に声を掛けた。すると、
「ふぇーー!やっと声出せる!!使者さんに、私がいいと言うまで声は絶対出すな、フードも取るな!と言われてたから、ずっと我慢してたけど、さすがにそろそろ限界だったよーー!!フードも暑苦しいし!やっと脱げるー!」そう元気な声が聞こえ、フードがバサッと音を立てて落ちた。
その瞬間女の子の全身を初めて見た訳だが、俺は心底驚いた。その子は俺が今まで見た事もないくらいプニプニしていた。多分頬っぺたをツンツンしたら弾力で跳ね返ってくるだろう。餅のようだ。そして、お腹。柔らかそうではあるが、プニプニ感が1番凄かった。呆気に取られてる俺を尻目に、その子は「私は朱凛(しゅり)だよ!あなたはシンクだよね?さっき使者さんが話してたから名前覚えちゃた!シンクこれからよろしくね!早速で悪いんだけど、私お腹空いちゃった!突然授業中に影みたいなモヤモヤしたものが現れたと思ったら、私だけそのモヤモヤに包まれて次の瞬間目の前に使者さんがいたの!しかも、違う世界に来たっぽいし!急に私いなくなって、先生やみんな驚いてるだろうなー!私も、もうビックリの連続でお腹空いちゃったよ!」そう言って朱凛はお腹を押さえた。いやいや、普通そんな事になったら色々不安でお腹なんて空かないだろ!なんて能天気なやつなんだ!そう考えたら俺は自然と可笑しくなってきた。「ははは!お前面白いやつだな!わかったよ!すぐ食べ物用意してやるよ!」すると、朱凛は「あ、シンクも笑うんだね!使者さんと話してる時もずっと怖い顔してたから笑わない人かと思ってたんだ!良かったー笑う人で!どうせ元の世界にはそう簡単に帰れそうにないし、どうせここで過ごすしかないなら、楽しい方がいいよね!それと、私はお前じゃなくて、朱凛だからね!」そう言って朱凛も笑った。
あー俺まだ笑えるんだな。人と会話したのなんて久しぶりすぎなのに、意外と普通に会話出来るもんだな!それはもしかしたら朱凛のこのプニプニのおかげかもしれないな。なんだか不思議だが、このプニプニを見ていると心が安らぐ。この先このプニプニ朱凛と過ごすのが楽しみになってきたな!よし!美味しい料理作るとするか!俺は実は料理が得意だったんだ!昔はよくマリアに褒められてたっけ。メニューは、んー、マリアが大好きだったオムライス作るかな!そして俺はキッチンへ向かった。久々の料理に多少手こずりながら、何とか良い出来栄え仕上げ朱凛の前にドンと置いた!
「さぁ!召し上がれ!」
「やったー!やっとご飯だー!シンクありがとう!私オムライスだーーいすき!」そう言って朱凛はものすごい早さでオムライスを食べ終えた。
そして満面の笑みで、
「シンク!!めちゃくちゃ美味しかったよ!ご馳走様!シンクは料理の天才だね!改めてこれからよろしくね!」とウインクしてきた!プニプニしている朱凛がウインクすると愛嬌があり、不覚にも可愛いと思ってしまった。照れ隠しもあり、俺はぶっきらぼうに、
「ああ、よろしくな。」と低く呟いた。これから朱凛との冒険の始まりだ!魔法の天才と言われた俺が料理の天才か!それも悪くないかもな。
冒険に向けて準備開始だ!!
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