AH-project #2 「家出少女ウニさん」
無関係と言っても過言でない。
そんな女子高校生がヒラダを呼び止めた。
呼び止めに反応できたが、ビックリしてすぐに返事を返せなかった。
女子高校生はそんなヒラダの返事を待たずに
口を開いた。
「1日だけ…泊めさせてもらえませんか?」
ヒラダの止まりかけてた思考が完全に停止した。
「え…? ちょっ… えぇっ!?」
文字通り困惑するヒラダ。
「…やっぱり驚かれますよね。」
「あっ!いや…」
(流石にこの反応は失礼だったな…)
すぐに心の中で反省した。
「無理そうなら断ってもらって構いません。
ヤバい事言ってるのは分かってますので」
この時ヒラダは女子高校生の容姿を見ていた。
セーラー服に学校指定のバッグを手下げている。
髪型はミディアムの黒髪
インナーと毛先に暗い緑色が入っている。
凛とした目つきにも、黒い緑が浮かんでいる。
背はヒラダより少し小さく、少し見上げるようにしてこっちを見ている。
いたって普通な女子高校生だ。
「あの…大丈夫でしょうか?」
両手を胸の前におき、指先を合わせながら、こちらの様子を伺ってきた。
ヒラダというのは"無用の神たたき"という
ことわざの具現体のような男だ。
簡単に回避できる面倒事はほとんど回避してきた。
そんな男、ヒラダは次にこう言った。
「1日だけならいいよ!」
疲れていたからこそできた選択だった。
疲弊していた脳はヒラダを浮つかせ、この行動の危なさを眩ませた。
この時のヒラダの思いとしては、家出少女を助けるという善意。
そして代わり映えのない毎日が、これで少し変わるかもしれないという小さな期待からだった。
「いいんですか!? ありがとうございます!」
女子高生の声色が一気に明るくなった。
「俺は
「
お互いに頭を下げた。
するとどこかからか「グゥ〜っ」という音が鳴った。
その音にヒラダは頭をあげる。
一方のウニさんは一向に頭をあげようとしない。
「…コンビニでご飯買いに行きますか」
「…ハイ。」
上げられたウニさんの顔は真っ赤だった。
近くのコンビニにやってきた。
「食べたい物とかあったら入れてよ」
ヒラダがカゴを持って言った。
「え? お金…」
「いいよいいよ」
最初からお金を請求しようなんて思って無い。
赤の他人にお願いせざるを得ないくらいお金に困ったのだろうから。
ヒラダの中では、
家出したがお金に困り、とりあえず言い口説けそうで男を探し、寝床を確保しにきた。
という勝手なストーリーを形成していた。
「…本当にありがとうございます。」
ウニさんは申し訳なさそうにハンバーグ弁当をカゴに入れた。
何も気にせずにリラックスして欲しかった。
コンビニで買い物を済ませ、店を出る。
辺りは青黒くなり、闇になる寸前だった。
二人はヒラダのマンションへ向かった。
ヒラダは仕事カバンを持ち、先行した。
そんなヒラダは少し困ったような表情を浮かべていた。
ウニさんは左手に指定バックを。
そして
「袋持つぐらいはさせてください!」
と言われたので、ヒラダから渡されたコンビニ袋を右手に持っていた。
そんなウニさんも少し困ったような表情を浮かべていた。
気まずいのだ。
(どこまで聞いていいんだ…)
ヒラダには聞きたいことが沢山あった。
しかし何が彼女の気に触れるか分からない。
ヒラダは迂闊に質問することが出来ずにいた。
そして発言がないまま、マンションに着いた。
閑散としたマンション内では、カツカツカツという二人の足音やガチャというドアを開ける音が鳴り響いた。
家に入るとヒラダは
「ただいま~」
と小さく言って中に入り、玄関の明かりを自分でつけた。
後ろを振り返ると、ウニさんが玄関前で少しオドオドしている。
「汚いですが、どうぞ上がって」
とヒラダが優しい言う。
「それじゃあ、お邪魔します」
そう言って、ウニさんは家に入った。
我が家に異常が舞い込んだ。
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