第10話 Short Story 『Let Me See あのね』2021.7.8

# FUTURE 未来 5 #


そんな今、ちょっとした書類の関係でわたしはこの街に帰ってきた。

そして、野口さんに会った、、、この近隣では比較的大きな書店で。



この2年間のことをさらっと話す私に、野口さんが言った。



「大変だったのね。みんないろいろあるのね。」

「身近で同じように、家を出た人の話、結構最近あるのよねぇ~っ」とも言った。


そのあとで、自分の不満もしっかり話してた、野口さん。


野口さんもご主人にはいろいろと不満があるようだ。

わたしの話を熱心に聞いている間に、何度か彼女のほうの話も差し挟まれた。


もうさほど若くもなく、子供もいる女性が旦那に不満があるからと言って、おいそれと

簡単に出て行けるわけがない・・・そういう常識をたっぷりとその脳に

インプットしていそうな人だ。


そんな彼女はわたしの話を聞きながら、その瞳にさまざまな感情の色を覗かせていた。


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