第257話 早すぎる
「取りあえず……これでいいか?」
リヴァイアサンは綺麗なピンク色のそれが印象深い豊満な胸を隠すようにシンプルな服を形成して見せた。
姿を変えれたり、服を形成して見せたり……魔力を操作してっていう事らしいが、正確には魔力操作による形成、創造を可能にするなんらかのスキルだとは思う。
探索者でそういったスキルを持っているっていうのは聞いた事がないが、モンスター専用のスキルなのだろうか?
「全く……本物と比べて貧相なものを見せつけるなんて、私の体がその程度だと思われたらどうしてくれるのよ。風評被害もいいところよ」
「……ハレンチ」
「はしたないです。輝明がいるところで……そんなので魅了されたりしたらどうしてくれるのよ」
女性陣から総叩きを喰らうリヴァイアサン。
メアだけ最後に言葉を濁していたから、聞き取りきれなかったけどなかなかな言われようだ。
俺としては眼福でしかなくて、むしろ有難うございますって感じだったが。
「胸の1つや2つ見せたところで狼狽えすぎじゃ。むしろ女である事に誇りをもって堂々とせんと。そんなだから男の気配がないんじゃぞ」
「私はその気になってないだけよ。今は集落の発展、つまり仕事の方が大事だから。もっとこの場所が安全で住みやすい……そうね、取りあえずシードンを殲滅して各階層の階段、ワープステーションを占拠、管理が出来るまでは交配する気になれないわ」
「私はその、興味がなくはないですけど……。女性らしく振る舞うのはあんまり得意じゃないくて……」
「……探索命」
リヴァイアサンの言葉にはやくちで捲し立てるセレネ様。もぞもぞし出すメア。キャラを維持し続ける桃ちゃん。
それぞれの反応がここまで違うと見ていて面白いな。
「まぁそんなことは今はどうでもよいか。白石輝明、ほれ飲み残しだ」
俺はリヴァイアサンから薬の入った瓶を受けとった。
中身は半分くらい残っているけど、全て飲まなくても効果があるんだな。
「その残りはここに来るまでに働いてくれた……トゲくんだったか?奴に飲ませてやるといい。あれはそろそろ我と同じリヴァイアサンという種に進化出来る筈だ」
「トゲくんがもうリヴァイアサンに?自分のパートナーにこんなことを言うのはあれかもしれないんですけど、あなたとトゲくんじゃ力量に差がありすぎて違和感が……」
メアは驚くように言葉を発した。
その違和感は俺も何となく分かる。
「リヴァイアサンはリヴァイアサンでも格というものが違うからな。むしろ強くなるには進化してからが本番――」
――トントントン
「お話し中失礼します」
「入っていいわよ。なにかあったの?」
話をしていると部屋の扉が叩かれると、給仕の女性が暗い表情で部屋に入ってきた。
何か嫌な予感がする。
「下の階層の様子を見に行っているものから、普通とは異なるシードンの姿を見られたと情報が……。そのものは危険を感じてこちらに帰還中です」
「!?いくらなんでも早すぎる」
驚くリヴァイアサン。
和やかな空気は一転全員の顔が強張り、緊張感が走るのだった。
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