第240話 何なんだその武器も、お前も
――ドゥンッ!!
『氷結リボルバー』と呼んでいるそれから、轟音と共に目で追うのがギリギリな程のスピードで氷の弾が飛び出すと、私の頬を掠めて地面へと落ちた。
地面に撃ちつけられた弾が発する音はかなり高い場所から何かが落ちてきた音よりも更に更に大きい。
そもそも私の身体に傷をつけるような氷なんておかしい。
スピード特化型とはいえ【6】とか【5】に噛みつかれても無傷なくらい私の防御力は高い。
「凄まじい威力ね……」
「我の魔力をたっぷり注いだ弾丸と、それをここまでの速さに圧し上げてくれるこの『氷結リボルバー』は特別製だからな。我の魔力を自動で適量吸い上げてその吸い上げた勢いのまま弾を打ち出す仕組みなのだが……なかなか面白いだろ?」
「ええ。ペラペラペラペラ偉そうに喋るあなたも今までの態度と違い過ぎて面白いけど、ねっ!」
あの武器は完全遠距離用。
次の弾がくる前に距離を詰めてもう一度肉弾戦に持ち込む!
足の裏にうっすらと生える毛はそのキューティクルであらゆる地面でも私の身体を滑らかに移動させてくれる。
私がスピードで他の追随を許さなかったのはこの毛があったからと言っても過言じゃない。
さっきは動きを予見されて避けられたけど、本来メロウに私の動きを追えるはずはない。
「その速さで右往左往と動き回るか……今の我には到底追い付けないな」
「当たり前でしょ。あなたはメロウで私は最速のシードン。次は避けさせな――」
――ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ!
「いっ!!」
「追い付けないのは四肢であって、眼球は問題ない。それに我はこうして腕をちょっと動かして、しかもトリガーを引きっぱなしでハンマーを起こすだけで何度も弾を放つことが出きる。弾の装填は我がシリンダー内で弾を作ってやればいいだけだからな。精度が低くても数撃てば当たると言うものだ」
自慢気に話し終えるとメロウは『氷結リボルバー』の先にふっと息を吹き掛けた。
これだけの仕組みの武器を自分で、しかもこれだけMPを消費しそうな仕組みだというのにけろっとしている。
「なんなんだあなた点て湯お前は?」
「流石に【2】なだけはあるな。今のでまだそんな風に話せるとは。うーん、やはり流せる魔力量が減ったから『氷結リボルバー』の威力も下がっているってことか……昔なら当たった箇所を中心にもっと肉が弾け飛んでいたはずな――」
「お前は誰かと聞いている!?」
「うるさいのぉ。もうじき死ぬのだからそんな事わざわざ聞くのは無駄だというのに……。まぁ我も久々に元の姿に戻りたいと思っていたところだ」
「元の姿? お前はメロウじゃない?」
「その通り。我がお前の、シードンなどのリクエストに答えてやるのだ、しかと目に焼き付けて死ね」
メロウの身体がメキメキと音を立て始め、その身体に生まれた亀裂から太く神々しい光を放つ存在が姿を現し始めた。
「お前は、まさか……」
「我は【リヴイアサン】。お前達が最も脅威している存在だ」
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