第64話 50階層

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■ダンジョン『重獣』

1~10階層

・ヒポモス

・サイリア

・バグヒポモス(ボス)

経験値約16800

レベル57から58


11~20階層

・ライノフラワー

・ハングリーヒポモス

・キラーライノス(ボス)

経験値約3000

レベル58


21~30階層

・グリーンサイリア

・レッドサイリア

・ハングリーヒポモス

・ライノスライダー(ボス)

経験値5000

レベル58


31~40階層

・ハングリーヒポモス

・ヒポモスライダー

・マーダーサイリア(ボス)

経験値8000

レベル58


40~49階層

・ミニライノスライダー

・フライングヒポモス

経験値5000

レベル58から59

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「よし……」


 いつもの様にダンジョンでの獲得経験値とモンスターをメモすると俺はメモ帳をアイテム欄に閉まった。

 時刻は既に日を跨ぎ、日が昇りだす早朝5時半。


 俺はアイテム欄からペットボトルのブラックコーヒーを取り出し、ゴクリと喉を鳴らした。

 

 ようやくここまで来たという達成感を感じながら飲むコーヒーは格別だ。

 アドレナリンがドバドバ出ているからなのか意外にも眠くはない。

 

「一応ストレッチだけやっとくか」


 俺が今いるのは49層と50階層の間にある階段。

 40~49の階層にいる時間が長かっただけにボス戦は久々な感じがする。


 というのも9階層以降以来の階段を出現させるギミックがこの間にはあって、それがミニライノスライダーの乗っているミニキラーライノスに階段を掘り当てさせるという面倒くさいもので、そもそもその必要がある事に気付くのにどれくらいの時間が掛かった事か……。

 

 ミニキラーライノスは30階層の通常サイズと比べて従順で、跨れば簡単にいう事を聞いてくれたから少し楽しかったけど……。

 結局下の階に同じミニキラーライノスを連れていくことは出来ないから泣く泣く倒すのは辛かった。


 ちなみにこのライノス種とサイリア種は独自のドロップ品とは別にサイリアの鎧皮もたまにドロップしてくれた。

 同様にヒポモス種の全てもヒポモスの皮をドロップしてくれたので、取り敢えず2種類の皮は依頼分を無事集めきることが出来た。


 戻って集めないといけないとかにならなかったのは本当に良かった。


「そんで、この先の50階層にまた目的のモンスターがいるんだよ、なっと」


 俺は階段を使ってアキレス腱を伸ばすストレッチを終わらせ、元の態勢に戻りながら、50階層のボスの情報を頭の中で整理していた。


 50階層ボスは将軍サイリア。

 依頼の説明で聞いた話だと、その名の通り将軍サイリアはサイリアを束ねるモンスターで、サイリアを数匹呼び出しながら戦ってくるらしい。

 一撃がとにかく重く。鎧部分は通常のサイリアとは比較にならない程硬い為、防御の甘い関節部分を狙うか、状態異常が有効なんだとか。


 割とここまでのボスがトリッキーな奴らばかりだった事もあって、単純な上位互換的なモンスターなのは助かる。

 とりわけマーダーライノスは俺に与えた分のダメージを回復、更にいくら傷ついても全くひるまず、結局姿が消えるまで油断出来ないモンスターだった。

 しかも、騙し打ち、不意打ち、初見殺し的な奇襲。そのどれもがいやらしく、モンスターをあれほど憎く思ったのは初めてだったかもしれない。

 『回避の加護』が無ければ、右腕を食いちぎられていたかも……。


 出来れば次のボスはただただデカいサイリアであって欲しい。

 

 俺はそう思いながら、一歩また一歩と階段を降りる。

 

 階段の先からは鳴き声もしなければ、物音もしない。

 俺はそれを不穏に思い、ひっそりとボスの間を覗く。


「……壁?」


 階段の先には確かにボスの間があった。だが、正面奥には見覚えのない大きな1枚の壁が聳え立つ。

 壁にはぶつぶつとした突起がいくつもあって少し気持ちが悪い。


「何だかモンスターの皮みたいだな。それに、なんだか声が響――」


 俺は声の響きに違和感を感じて、壁伝いに上を見上げた。

 その天井の高さは数十メートル今までのどのボス部屋よりも天井が高い。

 

 そういえばここに来るまでの階段が異常な長さではあったが……。

 それよりも気になったのはその『壁』だ。


 壁には金属的なあしらいが施され、よく見ると微妙に動いている。

 そして、その壁の一番高いところには、あり得ない程大きなサイリアの頭があったのだった。


「大きいだけのがいいとは言ったが……これはやり過ぎだろ」

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