光合成




 痒い。

 痛い。

 苦しい。

 気持ち悪い。

 熱い。

 寒い。

 皮膚と言わず、全身がただれているのではないだろうか。

 皮膚と言わず、全身が凍りついているのではないだろうか。


 全身の毛穴という毛穴を通して無理やり氷の拳が体内にねじ込まれたかと思えば。

 血流をめぐって形成されたマグマの拳が肉を食い破って毛穴から吐き出される。

 この激痛という言葉さえ生易しい拷問を伴う現象が瞬く間に何度も何度も繰り返される。


 骨が見えているはずの身体は傷の一つさえなく。

 けれど。




「呪いの反動、か」

「見るからにまずそうだが生きているだけマシ、か」


 喉を傷めるような笑いを溢したのは、どちらだったか。

 どちらとも、だったか。





















 娘より幾ばく。否。一時間ほど遅れてゼンバッテン城内の玉座の間に辿り着いた多枝の父親が目にしたのは。


 腹を抑えて娘を眼光鋭く見つめる眼福お客様と。

 肩を掴まれて宙に浮かされながら往復ビンタを喰らわされている全裸の少年と。

 血煙をまき散らしながら全裸少年に往復ビンタを喰らわす愛娘であった。





「多。多枝ちゃん!?」


 父親は駆け走った。

 無論、娘の暴力を止める為でもあり、いたいけな少年を守る為でもあった。








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