第143話 弱点とその先へ
「では、今からみんなの弱点と強みになる部分を解説しようと思います。それぞれ、模擬戦の相手をした講師からお伝えしますね。ハナから頼む」
「わかりました。では、まずギーグさんです。ちょっと君は攻撃に意識を持っていきすぎかなと思います」
剣を交えてわかったのは、攻撃に特化した戦い方だということである。
攻撃にほぼ全ての意識を使っているため、その他のことにまで意識が回っていない。
特に、防御系が甘いと感じる。
攻撃に集中することも時には必要だが、それによって隙が生まれたら、そこを突っ込まれる。
「積極的に攻撃を仕掛けられるという点ではいい事ですが、仲間との連携を意識して自分本位な攻撃は控えるようにしましょう」
「はい! わかりました!」
ギーグは大きく頷いた。
「次はメアリさんですね。メアリさんは魔法に無駄がある気がします」
主には魔法の展開スピードである。
詠唱にかなりの時間を取られているように思う。
詠唱が長くなると、相手に対して攻撃の時間を与えているようなものである。
詠唱も全て教科書通りにやればいいというわけではない。
省ける所は実践では省いていく必要がある。
「私は、魔法のことはよくわかりませんが、ヴィムさんが言うに省け部分は省いて効率をよくするといいそうです。そこを意識してみてください」
「わかりました。ありがとうございます」
「私から二人には以上です」
そういうとハナは一歩下がって、ミサと交代する。
「では次は私から、お話します。まずはララさん、あなたの戦い方はスピードに頼りすぎていますね」
槍を扱う上で、スピードはとても重要なのことになる。
しかし、そのスピードを思い通りに扱うには筋力や体幹を鍛える必要がある。
ララにはそれがまだ不十分なように思えた。
「スピードはこれからも伸びていくでしょうから、体幹のトレーニングや筋肉トレーニングを稽古の中に取り入れるといいと思いますよ」
「わかりました! ありがとうございます!」
「次に、レートさん。魔法の正確性は大したものです、ですが正確さに意識が持っていかれすぎていると感じました」
狙った場所に正確に魔法を展開するのは確かに大事なのはことである。
しかし、それを意識するあまりに、魔法威力が落ちているのが現状である。
だからこそ、魔法を付与していない剣でも弾き返すことができたのたのだ。
「正確に魔法を展開できていますので、次は威力を上げていくことを意識してみましょう!」
「ありがとうございます」
「私からは以上です」
そう言うと、ミサはヴィムと交代する。
「では、最後に僕の方からお話します。チカゲさんの方から行きますが、弓術は素晴らしいです。正確に相手の急所を狙えています。ただ、突破口になるほどの威力がない」
弓術だけみたら、冒険者の中でもトップクラスに入ると言っても過言ではない。
しかし、ただの矢では威力には限界がある。
正直、魔獣相手にどこまで通用するかはわからない。
揺動には使えるかもしれないが、突破口には欠ける。
「今後は、弓術を魔法の組み合わせなんかを考えてみて、矢自体の威力を上げることを意識したらいいと思う」
「はい! わかりました!」
「次に、ザックくん。君は近接格闘に向いているタイプだと思うが、自分の技量を過信している所があるね」
技が入っても決まったと思って安心してはならない。
実践では一瞬の油断が命取りになることだって十分にある。
最後まで気を抜かないことが大切なのだ。
「今のまま、近接格闘の技術を高めて行って、周囲に気を配ることが大切だ。敵のことだけでは、なく味方のことも意識しよう。実践では、どこに何があるかわからないからな」
「わかりました! 気をつけます!」
これで、全員の特性が分かった訳である。
「では、今日はここまでとします。明日には森に討伐へ行きますので、今日言ったことを意識しておいてください」
まだ昼過ぎくらいの時間だが、今日はここで解散とする。
三日に分けて講習を行うことになっているので、時間は十分にある。
「しっかり休んでくださいね。では、お疲れ様でした」
ヴィムたちは講習生と別れると、屋敷に戻るのであった。
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