第139話 模擬戦へ
ヴィムたちが担当するCグループは女子が3人、男子が三人という六人のグループだ。
装備を見るからに、駆け出しの冒険者という感じで、どこか、危なっかしい様子を感じる。
「ヴィム・アーベルです。ご存じかと思いますが、深淵の魔術師という二つ名をレオリア国王からいただいています。ランクはSです」
「ミサ・フルメンと申します。元は騎士をしておりましたが、ご縁がありまして、今はこうして冒険者をしてます。月光の騎士の二つ名を頂きました。ランクはSです」
「ハナ・シャロンです。私はお二人のように二つ名はありませんが、ランクはAです」
ヴィムたちは、それぞれ講習生に対して自己紹介をした。
「よろしくお願いします。ララです。ランクはDです」
「メアリです。私もランクDです。お願いします」
「チカゲと申します。ランクはEです」
女の子三人が先に自己紹介をしてくれた。
二人がランクDまで上がっているということは、簡単なクエストをこなしていたのだろう。
薬草採取のクエストなんかは、常駐クエストとして掲示しているし、初心者には優しいクエストである。
魔獣と戦闘するよりはずっと安全にランクを上げて報酬を受け取ることができる。
「僕はギーグです。Eランクです」
「ザックと言います。Dランクです」
「俺は、レートです。Eランクになりました」
男子の方も自己紹介をしてくれる。
Cグループには最低ランクであるFランクの冒険者はいないようである。
この講習の対象になっているのが、FからDランクなので、上二つのランクが集まっていることになる。
ここから先の指導方針は、講師に一任されている。
必ず教えなくてはいけない項目はあるが、それ以外は比較的自由である。
「じゃあ、まずは全員の今の実力を確認させてもらいたい。俺たちと模擬戦をしよう」
そう言うと、講習生はざわめく。
「安心してください。勝てと言っているのではありませんし、講師から一切攻撃を仕掛けません」
ヴィムの言葉を聞くと、講習生に笑顔が戻った。
「それなら、大丈夫かもね」
「うん、先生たちから一本取れたら喜んでいいかな?」
「そんなに簡単じゃ無いと思うけどね」
そんなことを話しながら講習生とヴィムたちは移動をする。
今日、初めて顔を合わせたとは思えないほどに仲良くなっている。
若いというのは希望があっていいと思う。
そんなジジイのようなことを思いながら、ヴィムたちはギルドが開放している模擬戦の会場の一つを押さえた。
ここには結界が貼られており、その辺の魔法や物理攻撃では破壊することは不可能だ。
「こちらからは攻撃しないと言いましたが、防御はします。皆さんの全力を見せてください」
「じゃあ、男女のペア三組でそれぞれの講師と模擬戦を行います。みんなで話し合って、相性なんかも考えてペアを組んでくださいね」
ヴィムとミサの言葉でそれぞれ話し合いが始まる。
数分の話し合いの末にペアが決まったらしい。
ララとレートのペア、メアリとギーグのペア、チカゲとザックのペアで決定したようである。
「先生、決まりました!」
「よし、順番も決まったか? こっちはハナ、ミサ、俺の順番で相手をしようと思うぞ」
「はい! 順番も決まってます!」
「わかった。最初は誰がやる?」
「俺たちだ!」
そう言って、メアリとギーグのペアが一歩前に出た。
【あとがき】
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