第71話 ハイムギルド支部

 その日は、領主邸で夕食をご馳走になった。

そこから、領主様や奥様と軽く世間話をした後に就寝した。


 翌日、ヴィムたちはハイムの街のギルド支部へと向かっていた。

ギルドは街の中心付近にあるようだった。


「さすがは冒険者の街だな」


 ヴィムはギルド支部の建物を見上げて言った。

王都のギルド本部には及ばないが、支部としては立派なギルドである。


 中に入ると冒険者の装いをした若者たちで溢れかえっていた。

チラッと依頼が貼りだされている掲示板を見たが、王都のギルド本部と同じくらいに依頼の数は充実していた。


「ギルド支部長に会いたい」


 ヴィムはギルドの総合窓口でSランクを示すギルドカードを提示して言った。


「す、すぐに確認して参ります」


 受付嬢は慌てた様子で奥へと走って行った。

まあ、この国に数人しかいないSランクの冒険者が訪ねてきたとなれば、少なからずは慌てた様子を見せることだろう。


 数分そのまま待っていると先程の受付嬢が戻ってきた。


「支部長がすぐにお会いになるということです。ご案内します」


 受付嬢がギルド支部長室へと案内してくれる。


「どうぞ座ってください」


 支部長室に入ると支部長がソファーに座るよう促してくれる。


「私、ハイムの街の冒険者ギルドを任されておりますライマーと申します。お噂はここにも届いておりますよ」

「ヴィム・アーベルです。悪い噂じゃないといいんですけどね」


 苦笑いしながらヴィムは言った。


「ハイムには迷宮の調査でしたよね。本部長から話は聞いております。通行証を発行してあります」


 支部長は一枚の紙を机の上に置いた。


「確かに。通行証確認しました」


 ヴィムはその通行証を三つ折りに折るというか懐に仕舞った。


「そしてこちらが迷宮の場所を詳細に記した地図になります」


 支部長はもう一枚の紙に印刷された地図を手渡してくれた。


「助かります。それでは、早速調査に向かいたいと思います」

「心配するだけ無駄かと思いますが、お気をつけて」

「ありがとうございます」


 ヴィムたちは支部長室を出るとそのままギルドを後にした。

そこからは貰った地図を頼りに迷宮への足取りを進めて行く。


 この距離なら数十分も歩けば到着することだろう。

ヴィムたちは数十分の距離を歩き続けた。


 そして、迷宮の入り口が見えてきた。

入り口の前には門番らしき騎士が立っていた。


 誤って推定ランクSの迷宮に立ち入ってしまうのを防ぐためだろう。

調査が済んでいない迷宮は通行証が無いと入ることは絶対にできない規則なのだ。


「ここはSランク推定の迷宮です。通行証が無いと入れません」


 門番の騎士が口にした。


「ギルド本部から迷宮の調査を依頼された者です」


 ヴィムは通行証を門番の騎士に提示した。


「失礼しました! お気をつけて!」


 勢いよく敬礼すると、騎士はヴィムたちを見送った。

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