第39話 情処部ルート 2

今日は私の方がこの部屋へ来るのが早かった。二年生の女子の先輩もいる。良かった。「趣味はなにか」と部長から聞かれて言葉を濁していたらぱったりと個人的なことを聞かれなくなった。誰が根回ししたんだろう。きもいと思ったのかな。趣味がネタにされたら困る。推しと結婚するのが夢なんだぁとか言ったらわかりみ言われながらドン引かれそうなので言わない。推しの子どもになりたいのもある。推しは神聖だから結婚しても推しを悲しませる未来しか見えない。ぴえん私ヒトだけど。とか言われたら確実に泣く。検定が近づいてきているので対策としてエクセルをいらうようになった。ムズい。すぐ忘れる。せっかく横におせっかいな結月がいて何も言わなくても困ってる私を見て横から色々口出ししてくれるのに。ちゃんと聞いてない私情けない。同じところ間違っても根気強く教えてくれるし見てないようでいてちゃんと人のこと見ているんだなと思った。最近斜め前のうららちゃんの方ばかり見ているのをさらに右横から見られている気がするんですが気のせいでしょうか。あのー言いたいことがあるなら言い合った方が良くないですかね。私がうららちゃんみてたら何かやばいんですか。もしかして好きだったり・・・。まさか私なんかが好きとかないと思うし。その子私が先に仲良くなったのにいつの間に仲良くなってんだよって感じだと思うんだよ。女子は隠し事を嫌うし何でも教えて欲しがるんだよね。同じ制服のスカートなのに皆違って見えるから個性って隠せないものなんだね。うららちゃんは今日もおっとりとしている。同じ漫画を読むので聞いたら推しが一緒だったから盛り上がったり移動教室の帰りがけに少し話したりしたね。友達に「高田」呼びされてるのはびっくりしたけど美人が苗字呼びってなんか萌えました。声も涼やかな風鈴のようなよく通る声で名前呼ばれたらそれだけでどきっとしそう。白過ぎて裏がないように見えるかんぺき。ラインではどうなのか知らないけど。授業中も全然寝ないし。笑顔が爽やかで元気なんだ。足も腕も細くって陶器でできたお人形みたいだ。「うららちゃん明日一緒に帰ろうよ」「いいよ。遠いけど」大丈夫遠回りなだけだから。推しだから告白するとかは絶対にあり得ないんです。「5時になったので帰ります」一人で先に教室を出ると廊下が暗かった。家にパソコンはあるし歩いて帰ると危ないはずだから長居はできない。疲れたから帰ったら甘いお話でも読むか。欠伸をしながら持ってる漫画の内どれがいいか検討し始めた。

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