第40話 二年生の副部長
私は情報を選択している二年生の副部長です。最近可愛い後輩ができました。百合に染まらなければいいなと思います。部長は男なので後輩が可愛くて喜んでる。アイツあとで締めとこう。回転椅子にもたれてだらしないのに、他の女子もオタクだからイラレに黙って絵を描いてるだけだし。「先生見てこれミホの彼氏ー」とか大声で言うようなのが二年生部員の残念な中身だった。頭よすぎたら百合ルートに入ってしまいかねないのでその方がいいのだが。頭いいのにそういうのは分からないフリをするというのが一番賢いやり方な気はする。なんかあの子やたらと私の方見てる気がすると思い始めたら終わり。百合が手ぐすね引いて待ってるわ。この学校には他に2つ系統選択で選べるようになってるわよ。教科書代が少し安い方の片割れが情報です。進学する人もしない人も系統は選ばせられるらしいの。普通科なら文理選択がこれに該当するんでしょうね。これは後輩ちゃんの方がよく知ってるはずよ。イラレはちょっと使いにくい。ペンタブ持ってる私はペンタブ使いたいと思いながら何か描いてる。一人で描いてるより不思議と落ち着くから放課後って変な空気持ってる気がする。一年生は静かで暗い子多いけどドルオタだから心配はしてないし結構表面上は仲良くしてるように見えないのに見えない精神的な繋がりがあるようにしか見えないときがあるよ。熟年カップルの空気ってあんな感じなのかな。ちょっと危険な領域に片足突っ込んでそうだわ。わーきゃー言ってもて囃す百合は数多くあれど安定感のある百合をいざ目の前で見せつけられると友情ってレベル高いと恋人いなくなるんじゃないかと不安になったくらいやばい。羨ましくはないんだけどいくつになっても仲良くしていられそうでいいわねってちょっと思ってしまっただけ。「えーそれ誰ー」「カイトくんだよ」「イケメン」ドルオタ的価値観を共有しているからかさっきよりは距離が近い。何も百合が悪いわけではない。後で傷つく覚悟がなければ辛くなるけどそれは男女間の恋愛だって同じことではないか。でも心から相手を見つめてずっとそのままなんて難しいしズボラな私には向いてない。そのまま会話は話題の新曲に移っていく。「さようなら」元気な声で青井さんは言った。それをにこにこしながら高田さんが見てる。つーかーというのはこういう二人のことを言うのかもしれないな。早く一番仲の良い友達に、フザケて私のことどれくらい好きか聞いてみたくなった。
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