第16話 嘘

【嘘】

その村にはよく「嘘」をつく少年がいた


「○○さんの家が火事だよ」「嘘だよ」

「○○さんが倒れた」「嘘だよ」

「○○さんの財布が落ちてたよ」「嘘だよ」


少年は嘘ばっかり言っては村人たちを欺き楽しんでいた

やがて村人たちは少年の話を信用しなくなった


そんなある日

少年は村はずれの空井戸で子供が遊んでいるのを目撃した

危ないなぁ~と思った次の瞬間その子供は空井戸へ落ちてしまった

「大丈夫か?」

少年は井戸の中へ声をかけた

子供は泣いている・・・なんとか無事の様だ

「今すぐ大人を連れてくるからな!」


少年は村人が集まる広場へ行き村人たちに子供が井戸へ落ちたと伝えても

普段から嘘ばかり言ってるから誰も信じてくれない


早くしないと・・・ここで少年は機転を利かした


「子供が井戸なんかに落ちてないよ」「嘘だよ」


それを聞いて村人たちが仰天した

井戸なんかに子供が落ちてない?それが嘘?

とりあえず言ってみるか?

大人たちは村はずれの空井戸へ

「お~い」

井戸に声をかけると子供の泣き声

本当だったんだ!大変だ!

大人たちはなんとか井戸から子供を助け出した


そしてまた少年の取り巻く日常が始まる



「○○さんが結婚するんだって」「嘘だよ」

「僕は幽霊を見たんだよ」「嘘だよ」

「大きい魚が釣れたんだ」「嘘だよ」




「村の人たちなんか大嫌いだ!」「嘘だよ・・・」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る