第15話
あれから3日が経った
未だに答えどころか手がかりすら見つけられない
そのせいでここのところずっと集中力に欠けている
「おい!!まさ聞いてんのか!?」
「…あ??」
「だから!!この購買の数量限定のパンめっちゃ上手いから一口いるか??って言ったんだよ!!俺もこのパン買えたの初めてでさ〜…」
「なぁ…お前さ誰かを思わず抱きしめたくなったことあるか??」
…はっ!!俺は一体今何を言った??
しかもよりによってこいつの前で
「きゅ…急にどうしたんだよ…」
かずきもあからさまに動揺している
「いややっぱなんでもねぇ忘れろ」
口が滑るにも程がある
相手を間違えすぎだろ
「ちょちょっと待て!!相談か??相談なのか⁉まさが俺に⁉いや〜どうしてもって言うんなら相談に乗ってやらんこともないけど〜」
完全に調子に乗っている
「あのまさが俺に相談…しかも恋の悩み!?いや〜まいっちゃうなぁ」
「うるせぇとりあえず黙れ」
いくら俺が悪いとはいえしつこすぎる
「どうしたの怒っちゃって〜言いにくいことなのか??その点については安心してくれ!!俺はめちゃくちゃ口堅いからな」
いつまで喋ってんだ
あまりのしつこさに流石に俺も頭にきてその場を離れようと立ち上がった瞬間…
椅子の脚に俺の足が引っかかりバランスを崩した
やばいと思ったときにはもう遅い
車も人間も急には止まれない
咄嗟に何かをつかんで倒れるのは間一髪阻止した
…がつかんでいたのは目の前にいたかずきの背中
どうやら向こうも俺を支えようとしてくれたみたいだった
しかしそれが裏目に出た
俺たちはお互いに抱きしめあってるような体制になってしまった
それは自然と数日前の"あれ"を彷彿させる
だがあのときとは明らかに何かが違う
暖かいというより暑苦しい
そしてめちゃくちゃシンプルに
「汗くせぇ…」
すぐに離れずにはいられなかった
「なんだよ!!せっかく助けてやったのに汗くせぇはないだろ!!もうお前なんて助けてやらねぇよ!!」
…こんな感じじゃなかった
同じような状況であったが全く違う
そして俺は気づいてしまった
きっと今回が例外なわけではない
相手がかずきだろうと他のクラスメートだろうとたとえかずきが汗臭くなかったとしてもなにも変わらないだろう
ということは比例してこういうことになる
あのときが…あいつが…
「特別…なのか…」
やっと見つけた手がかり
パズルのピースが全て集まったように
最初から全て決まっていたかのように
俺は腑に落ちた
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