【エッセイ】生老病死を考える

幻中六花

生老病死とは

 生老しょうろう病死びょうし……生まれること、老いること、病むこと、死ぬことの四つの苦。人生における免れない四つの苦悩のこと。▽仏教語。四苦ともいい、また、四天使ともいわれる。

<出典……三省堂 新明解四字熟語辞典>


 人は生まれながらにして、4つの苦しみを持ち合わせているという。

 親を選べないという観点から、『生まれること』も苦しみだといい、他の3つは文字の通りだ。


 また、ここでいう『苦しみ』というのは、『自分の思い通りにならないこと』という意味でもあり、自分が生まれたくて生まれたわけでもないし、老いることも、病気になることも、死ぬことも自分の意思ではどうにもならないという意味で、『苦しみ』と表現しているのだそう。



 今回わけあって、私は最近自分の生まれた意味を考える機会があった。

 考えている時はとても辛かった。

 

 なぜなら、私は一度両親に勘当され、母親には

「あんたを生んだことを後悔している」

と言われたことがあるからだ。


 私はこの世に生まれてくるべき人間だったのだろうか。

 私が生まれた時は、間違いなく両親もそのまた両親も喜んでくれたはずなのに、どうして後悔させてしまったのだろうか。


 ──その答えは、すべて自分の行いの中にあった。


 私は今までわがままにわがままを重ねて生きてきて、それを甘えだと気付かずに、少しでも思い通りにならないと悲しみ、どうにか思い通りになるようにずるく生きてきた。

 思い通りにならないことを兄弟のせいにして、自分だけ両親に愛されようとした結果、家族はバラバラになった。

 家族が全員バラバラになったというよりは、私だけ蚊帳の外になってしまった。


 若いころから恋愛依存症の傾向にあった私は、恋愛がうまくいかないことも人のせいにして生きてきた。

 やっと成功した3回目の結婚で、父からもらった苗字をやっと手放すことができたのである。

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