2-3、水源地の調査
* * *
なだらかな山道を歩いていく。快晴の空から照りつける太陽光のせいで、若干汗ばんできた。
オレとリース、そしてユイファンの3人は今回の
元々はオレとリースが2人で行く予定だったのだが、ユイファンが「心配なので自分もついていくっス」と言い出して同行したのである。多分、心配の対象はオレだろう。さっきから警戒されているのが視線で分かる。
リースが変なことを口走ったせいで、糸で縛るのが趣味のやばいやつだと思われちまったからなあ……
「ねぇ、ユイちゃん。ボクと一緒に
先頭を元気に歩くリースが、振り返って後ろのユイファンに話しかけた。ちなみにオレは最後尾をダラダラ歩いている。
「うーん……気持ちとしては加入したいスが、自分はまだまだ修行中の身なので道場を出ていくのはまだ早い気がするんスよね」
「そっかぁ。いつでも歓迎するから、納得できるまで腕を磨けたって思ったら声をかけてね。今日みたいに一緒に
「そうっスね。うん……その時はこっちからお願いするっス」
ユイファンは目を逸らし、曖昧に答えた。
様子を見る限りでは、こいつは何かを恐れているように思える。一線を引いて、知られたくない秘密を守っているかのようだ。
多分、修行中の身だからというのは建前だろう。別の理由を隠している。そんな気がする。
まぁ、どうでもいいけどな。
「そういや、お前たちは知り合いみたいだったけど、どこで出会ったんだ?」
オレがなんとなく聞いてみると、ユイファンが振り返って答えた。
「自分が、街の外れで倒れてるリースを拾ったんスよ。剣だけを大事そうに抱えて、城壁に寄りかかって意識を失ってたところを見つけたんス。ひとまず道場の自分の部屋に連れていって、回復するまで一緒に住んでたっス」
「えへへ。その節はお世話になりました」
リースが恥ずかしそうに頬を掻いた。
そういや、こいつも特別な事情を抱えたやつだったな。家出をしたと言っていたが、詳しくは語らなかった。
誰だって知られたくない秘密や過去がある。オレもそうだ。
影を持たない人間なんていない。いるとするなら、そいつはきっと影と見分けがつかないくらい真っ黒に染まっちまったやつだ。
「今回の
リースが手に持った依頼書を読み返しながら呟いた。
討伐の対象がはっきりと定まっていない
「もしも原因が魔物だったなら、そいつをやっつけちまえばいいってことっスよね」
ユイファンがリースの呟きに反応した。
「いや、依頼はあくまでも調査だ。魔物が原因だったとして、手に余る相手だったなら引き返してそのことを報告すればいい。そしたら、その魔物の情報をもとに難易度が設定されて、改めて
情報を持ち帰れば、調査
「今日中に終わって、街に戻れたらいいっスね」
ユイファンが不安そうな声で呟いた。
「夕方までかかったなら、その村に泊まればいいさ。さすがに
「いや……用事があるわけではないっスが」
それだけ言うと、ユイファンは口を閉ざした。
リースのことが心配で勢いで
面倒なことにはなりませんように……オレは心の中で願うのだった。
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