【悲報】西暦2021年、創作論終了のおしらせ

水原麻以

【悲報】西暦2021年、創作論終了のお知らせ

いきなり悲しいお知らせですが…

まもなく創作論が終了します。人間が物語を発明して以来ながらく作家を悩ませてきた創作に関する論争が西暦2021年(からそう遠くない近未来)におわってしまいそうな勢いです。

「異世界転生は幼稚」とか「太宰治とか文豪っぽいのが純文学」とか不毛な議論は終わります。

なぜなら作風だの文体だの人間臭い要素は人工知能によって駆逐されてしまうからです。

ICT技術の発達はすさまじく、青空文庫を学習したAIが登場しています。

人工知能と言えば巨大なモノリスめいた機械のふもとで白衣の技術者が蟻のように働いているイメージがあります。

しかし、現実は手元のスマートフォンで太宰治を模倣することができます。しかも無料で誰でも利用できるのです。

実際には仮想環境にリモートでアクセスします。手元の端末が人工知能ぶりを発揮するわけではない。


● gpt2-japaneseをファインチューニングして太宰治っぽい文を生成する。

https://note.com/ricky0web/n/na7bed0d2645e


こうなってくると「異世界転生を書く作家はレベルが低い」だの「やはり描写や技巧にこだわってこそ格調高い文学になる」だのマウンティングが意味をなさなくなります。

とことん汚れたコーパスも読後に心が洗われるようなコーパスも1行の命令で切り替え可能です。


作家の人格と作品が完全に分離され、作風という抽象が引数の値に具象化されます。


それゆえ、キャラクター造形やストーリー展開を作家の自己責任に転嫁している批評家気取りの創作論者は居場所を失うでしょう。

彼らの内で口の悪い者は「作家の劣情が醜悪な作品にあらわれている」と謗ります。彼らは出版社が機械の作家を使役するようになっても墓穴に向かって罵りつづけるのでしょうか。


● これからの創作論はどうなるのか


まず結論からいうと工程の二極化です。

小説家一人が担っていた構想から執筆までの過程が上流と下流に分かれる。


執筆のAIにともなってシステム開発のモデルがWEB作家に波及してくるでしょう。


システムエンジニア(SE)が顧客の要望を聞いて仕様書というシナリオを作ります。

それにはどのようにデータを定義し、どのような処理をするか具体案を設計します。


小説で言えば構想やアイデアプロットに当たります。


仕様書はプログラマーに渡され、具体案を実際の命令に置き換えたり、画面や帳票をデザインしたりします。


これは原稿をしたためる段階です。


● 創作評論家も二極化する?


執筆以前の企画立案を評するAI創作構成論が現れます。

おそらく創作論の名を借りて作家の人物批評をしたがる人々の居場所はここです。

相変わらず「AIは作家の鏡だ」と悪口を言うのでしょう。人工知能に感情も思想もないのですけどね。


もう一つはAIを執筆支援に用いる下請けの作家たちです。

これはどちらかというとプログラミング技術論に近い批評になると予想されます。



だた言わせてもらえば、これはもう制作や製造に関する論になってしまうので、今現在、投稿サイトのエッセイジャンルを賑わしているような「創作論」は消えていくのでしょう。


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