第4話

「さーって、今日の昼はなににするかね」

 冷蔵庫から輸入もののライトビールを取り出してひとりごちる。

 ビールを取り出したついでに冷蔵庫の中身を確認すると手鍋が目に付いた。

「おっ、こいつは……」

 まぁ、なんということはない。昨日の湯豆腐の残骸だ。

 季節がら気温は上がってきたとはいうものの、枝豆や豆腐はビールのよき友なのだから自炊するなら汗はかく。冷奴という選択肢もあるがそれは夏本番に味わいたい。

 だから昆布だしと豆腐だけの湯豆腐で昨日の晩は済ませた。

「んじゃ、いつものにするか」

 台所へ鍋を持っていくと鍋の底から昆布を取り出して細かく切る。

 次に米を一合、ザクッと洗って昆布と一緒に鍋に入れると火にかけた。

「昼のビールも最高だねぇ」

 ビールをすすりながら目を細めて昆布の旨みを米が吸っていく様子を愛でていると次第に蓋が踊りはじめ食べ時を知らせた。

「さて、主役の投入」

 鍋にカレールーをひとかけら。火をさらに弱くして仕上がりを待った。

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