レオは故郷に錦を飾る

第154話 装備更新

レオは生まれ故郷の港町シラクイラに皆と帰省するため、公都ルンガルでの用事を一つ一つ片付けに行く。



まずは魔術師団への挨拶である。コリピザ王国にしばらく行っていたため、ながらく顔を出せていない。

「これはコグリモ準男爵。ご無沙汰しておりました。色々と大変だったようですね。ご無事で何よりです」

流石に公国魔術師団長であるエルコンド・マストリノ侯爵は、レオがコリピザ王国で何をしていたか認識しているため普通に会話ができる。

「はい、おかげさまで何とか無事に」

「皆も首を長くして待っておりました。お疲れと思いますが、ぜひ色々な魔法の見本を見せてあげてください」


早速、と魔法訓練所に移動を開始したものの、ハタと困ってしまう。

「前回にこの場で披露してから新たに修得したのは死霊魔法でして。皆さんにお見せして良いものでしょうか」

「魔術師団はそれらと戦うこともあるわけですし、逆にそれを使役できる魔法も修得できる可能性があることをお示し頂けるならぜひ」

「そうですか」


一応、つい先日に修得した王級水魔法≪霧氷≫や、今までにも見せていた王級火魔法≪爆炎≫、王級風魔法≪飛翔≫などの目をひくような魔法から開始し、各属性の魔法を発動していく。自分たちが修得できていない魔法の実演に、驚きの声が聞こえてくる。

そして最後に死霊魔法で≪骸骨≫≪腐肉≫≪幽霊≫≪死霊≫を次々と発動させると、魔術師団員たちの声が失われる。

「やっぱり失敗だったかな?」

とレオが思っていた後、急に大きな歓声があがる。

「あの魔物達は自然発生するだけではないのだ」

「もし使役できるとしても裏の世界の話だと思っていた」

「そんな選択肢もあるのだ」


建物に戻り団長エルコンドと再び会話となる。

「やはり、魔術師団員になられませんか?公女様の使用人は終えられたと聞いておりますので。もちろん今の段階でも良い立場でお迎えできますが、今後、コリピザ王国だけでなくルングーザ公国でも陞爵をされていけば、いずれは副団長、そして私の後の団長も視野に入れて頂けるかと」

「え!?ご冗談ですよね?」

エルコンドの目が笑っていないので、それ以上の会話を続けると危険と感じたレオは慌てて退出させて貰う。




また、先日はエンベルト達に魔剣を提供した時の女性陣の目線が怖かったことを思い出し、今度はピエモンテ商会に向かう。

ポーションの納品も行いつつ、アクセサリー型の魔道具を見せて貰う。流石は大店であり、種類も豊富であった。

「すみません、相談に乗って貰えますか?」

と1人で来ていたレオは、女性用のアクセサリーの選び方などわからないので、冒険者の女性が邪魔にならないような物を店員に教えて貰う。

「前に出て剣なども扱う方でしたら服の下で邪魔にならないネックレスがよろしいかと。そうでない後ろで魔法を使うだけの方でしたら、ブローチや髪飾りなどでも選択肢が広がりますね」

「なるほど。付与されたものはどのようなものがありますか?」

「そうですね、アクセサリー自体がもともと女性向けですので、こちら≪魔力回復向上≫≪回避向上≫などが人気ですね」

「では、これとこれと……」

ベラ、フィロ、シュテア、ラーニナ、ケーラ、そしてマルテッラの6人分を購入するので、店員には子供のくせに色男め、という顔をされてしまう。


家に戻り、仲間の女性陣5人には区別なく≪魔力回復向上≫の同じネックレスを配る。

「「ありがとうございます!」」

「あー、レオったら女性陣にだけ」

「いや、違うって、お前達には魔剣を買っただろう!」

「あ、気づいていらしたのですか、あのとき羨ましいと思っていたこと」

「あ、うん、遅くなってごめんね」


それ以外にも、仲間達の装備の更新を合わせて行う。

まず魔法の発動体の指輪が、例えばベラとフィロは下級上位程度であったので、まとめて8人全員を高級中位に交換する。レオは元々マルテッラが調達して高級中位であったのでそのままである。

同様に、ベラとフィロの親子には当初に購入した下級上位のままであったショートスピア、スモールシールドも高級中位にすると、レオのショートソードとスモールシールドも同様に高級中位にさせられることになった。


さらに、魔法発動体としてレオの身長程度の長さのスタッフと呼ばれる杖も全員分、9本調達している。慣れれば指輪などでも問題無いのであるが、先日のように城門の上などにとどまったまま魔法を発動する砲台になるのであれば、少しでも威力向上、魔力消費削減ができるスタッフの方が効率が良いと考えていたからである。もちろん日頃は魔法の収納袋に入れておいて貰う。

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